OjohmbonX

創作のブログです。

もののけ関係者による証言

モロの証言 「お前にサンを救えるか」と私が言うと奴は、 「は? 肩いきなしガッ抱きよせて頭よーしよし撫でりゃ一発っしょ? ああいう甘え慣れてねえ女ってさ。ちょっと優しくするとすーぐ勘違いして一気にデレるんスよ。っしょ?」などと吐かしたのだ。 30…

生命活動として極めて正常

課長はPC社外持出し許可申請書に素早く目を通すと、机の引き出しから拳銃を取り出して脇に立っていた課員の眉間を撃ち抜いた。課員は課長の手が当然印鑑を取り出すものと信じて疑う暇もないまま死んだ。居室にいた私たちは射撃音と同僚の死に動揺したものの…

純粋怪談 元水路

日が落ちても暑さが残る、夏の夜でした。仕事帰りにすぐシャワーを浴びてたんです。それで頭を洗っているときに「ギッ」って音が風呂場の扉からして。立て付けが悪いのかなと閉め直しても、また体を洗っている最中に「ギッ」と鳴るんです。その時は鬱陶しい…

ラヴギーン

はあ。あたし恋してる。国会議員。65歳。当選5回。 残りの人生。あとはただ国益のためって、そう思ってた。ほんとだょ? なのにどうしてだろ。甘くしめつける胸の痛み、狭心症とはちがう、だってわかる、経験したことあるから。もう認めざるぉえない、これっ…

ストップ。迷惑行為。

電車で隣に座ってるOLっぽい女の人が、ときどき首を回転させてる。モーターがついてるみたいに、すごい速さで首から上が回転する。扇風機と同じくらい速い。 学校帰りの電車、いつもは絶対座れないのに、乗った瞬間席があいてるのを見つけて一直線に座ったら…

171×59×19

[ 1 ] 高画質になるのも考えもんだなと思いながら、酒井は右手を思いきり伸ばしてスマホで自撮りを繰り返す。ベストショットを小さくリサイズし、トイカメラ風に軽く加工して一度は納得したものの、思い止まって加工した画像を削除する。ちょうどその瞬間に…

ゴールデン・ジャーマニズム

小学生の唇の奥で金歯が光る。お昼休みなのに土砂降りで冗談みたいに外が暗い。教室の蛍光灯の青っぽい光がジャーマンの金歯の表面をねらねら滑ってく。全員ひとことも口きかずに見てる。 ほんのちょっと前までみんな大笑いしてたのに。頭おかしくなるくらい…

彼女と別れました

同棲してた彼女が急にうちを出ていって、彼女のお父さんとお母さんが残された。困るから引き取ってもらおうと電話してもつながらない。本人からも引き取るように言ってよとお願いするけど、二人とも「はあ」とか「そうですねえ」とか言って連絡を取ろうとも…

憎まれっ子はばかるザ・ワールド

ああ、磯野に馬鹿にされていると先生が突然思ったそのときにはもう、授業を続けられなくなっていた。 先生が何の前触れもなく黙って、教室の入り口あたりをじっと見ている、子供たちはそわそわ落ち着きを失って、お互いの顔を見合わせたり先生の視線の先を追…

はてなブログに移行しました

はてなダイアリー:http://d.hatena.ne.jp/OjohmbonX/ から、 はてなブログ:http://ojohmbonx.hatenablog.com/ に移行しました。 はてなアンテナなどで登録されているURLを変更していただけるとうれしいです。 これからもよろしくおねがいします。

翁竹取のすべらない話

光りよるんですよ! 竹がぁ! ほんでボク、えぇーっと思て。びっくりして。 びっちょびちょですもん。汗で。手ぇが! これあれちゃうかなーて。女の子出てくるパターンちゃうかなーて。 ほんで斧で竹わったったんです。ほしたら出てきました。中から。LED。 …

リメイク 樋口一葉「わかれ道」

【上】 ピンポーン。ピポピポピポピポーンと夜の10時にアパートのチャイムを連打されて立ち上がり、いそいそと玄関に向かう女は麻衣、今年22歳のボリュームのある髪を上にまとめてメイクも落とした素顔の美貌もスウェット姿が台無しで、もう今日は寝ちゃった…

たっくんはいない

長いので分割しました。アラフォーがシューカツするみたいな話です。 | pdf | | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 09 | 10 | | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | どういうつもりで書いてるのかも書いてみました。→http://d.…

奈落の底の、もうひとつ底

お姉ちゃん、ねえお姉ちゃん。あなたは天才だよ。きっと誰も彼もがあなたの前で帽子を脱いで、あなたの存在に感謝することになる。私にはわかる。 私はお姉ちゃんの過去の作品をモニターに表示させて見ている。本当に誇らしい。一目瞭然という言葉はこの絵の…

さようならアーティスト

道端に吐かれたゲボ、階段に吐かれたゲボ、駅のホームに吐かれたゲボ、スクロールしていけばいくつもの、色とりどりのゲボの写真が流れていく。そんなブログがあった。何のコメントもプロフィールもなく、それがどこなのか、どんな意図で撮られたのか、いっ…

ブラックハンターよしえがいくわよ〜

あたしブラックハンターよしえ。45歳。世の中にはびこるブラック企業に潜入して闇をあばく。政府の密命を受けて、長かった自宅待機からついに解き放たれる。今度の獲物は全国チェーンの居酒屋、八兵衛。ブラックのにおいがプンプンするわ。待ってなさいよ〜…

進研ゼミが見てる

算数のテスト中にゆうたろうが「あっ」て言って、うちらみんな一気にゆうたろうの方見た。 「進研ゼミでやったやつだ!」ってゆうたろうが言って、みんなくっくす、くっくす笑った。水谷先生が 「静かにしなさい。」って言ったけど、水谷先生もちょっと笑っ…

ギャル万葉集

ツイッターで「#ギャル万葉集」のタグ張って、32首まで詠んでみました。このタグで色んな人が詠みだして、本物のギャル歌人まで出て。そんな夢見ながら詠んでたんだけど、自分以外に書く人なくて。あきらめてひとまずこれで終わらせて、5千年後に発掘された…

永遠に続くあたしサイクルがLOVE

草原に咲いた一輪のあたし。昼、太陽の光をたっぷりあびて風にふかれる。それはあたし。夜、すっごく寒い。 足が完全に草原に突き刺さってる。あたしの力では抜けない。ミツルがあたしを突き刺した。ミツル、それはカレシ。あたし45年の歴史のなかで、神さま…

ごんにんげん

あたし友だちとかいないじゃん? だから一人でシャズナのトイレにいるわけ。このへんのゲーセンで一番おおきいのはシャズナだから。トイレもいい感じだし。それに隣のマックにそのままつながってるから便利だし。 でもシャズナにいるとヤマ高の女がいっつも…

正義の職業、一生の職場

数ヶ月ほど前から、バタコは新しい顔を投げるとき指を1センチほど食い込ませるようになった。傷ついた箇所が偏頭痛みたいにずきずきと痛み続けてアンパンマンを悩ませるのだった。 「やめるんだ ばいきんまん!」 そうした大声を出すと痛みが増す。大きな頭…

ゲド戦記

フジテレビに入社したこの女子アナ、外道であったゆえゲドパンと呼ばれている。ゲドパンは入社早々カトパンを腹パンして外道ぶりをまざまざと見せ付けた。 「生意気なのよね。」 とんでもないことである。カトパンはただ、給湯器に鼻くそを入れていたゲドパ…

ニプレス リプレイ

ヒートテックのニプレスをつければ乳首が燃えるように熱い。連動して勃起しているが、ダウンジャケットの裾で隠れており問題はない。だが電車の中で大声であえぎ、胸を揉みしだいているのは問題だ。なのに俺の両隣が席を立っただけで、乗客の誰も気にしない…

息できないほど恋してる

兄貴のバイト先の、先輩のゴリラに恋した。俺が。わかんないけど、恋でしょ。たぶん。 兄貴なんて家でいばりくさってても口ばっかりだよ。どうせ。バイト先じゃまともに働けてないだろ、あいつ。って見てやろうと思って、自分でも意地悪くて嫌になりながら、…

不当逮捕

よくある話なんだけど、あたし万引きGメンじゃん? ぜんぜん万引き犯がいないとあたしがサボってるって店長が思うから、適当に客のカバンに店の商品を入れてんの。で、そいつが店から出た瞬間あたし、 「奥さん、お会計お忘れじゃないですか?」 こうよ。 こ…

キリン♀の♀キリ子

「バレーボール部?」 ってみんなが言う。近所のおばさんとか。私が175センチもあるから。バレーとかしてないですけど。あら、もったいない。何がもったいない? 私の背がもったいない? それってバレーでもしてなきゃ、でくの坊ってわけ? キリ子と呼ばれて…

オヌメサンバ

産婆のオヌメはこのあたりの村の女達から恐れられていた。オヌメは取り上げたばかりの赤ん坊を出てきた穴にまた出し入れするからである。女達にとって地獄の痛みである。しかしオヌメの取り上げた子供達は一人残らず丈夫に育ったから誰も文句は言わないので…

ともみあたしともみ

あたしとともみって親友じゃん? てか神友じゃん? だからはっきり言うんだけどー。あたし、ともみのこと嫌いってかんじする。 あ、ちがうちがう、嫌いってっても、いい意味で嫌いだから。 だーょ。あたしたち神友じゃん? わるい意味で嫌いだったらそれって…

他愛なく無用である

長いので分割しました。半年ほど前に書いたものです。 | 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 |

エンパイア・オブ・ルンバ

さっきからルンバがおばあちゃんのすねを攻撃してる。ガンガン当たってる。でもおばあちゃんは無言だ。立ったまま。 障子紙を通して強い逆光が和室に差し込んで、戸の透き間から覗くぼくには、おばあちゃんの表情は陰に沈んで伺い知れない。 ふいにおばあち…