OjohmbonX

創作のブログです。

たっくんはいない(9)

送別会にでるって聞かれて、送別会がどういうことかというと、スーパーの人がやめるから居酒屋でスーパーの人が集まるってことでぜんぜんわけがわからなくて小学校のときに転校してく子がいると学活の時間にクラスのみんなでフルーツバスケットとかしてたこと思いだした瞬間にキラッキラッて私完全に送別会のこと理解したけど大人はフルーツバスケットはやらなくてお酒を飲んだりお話したりしてて私お酒飲んだりお刺しみ食べながらぜったい私のほうが上手に切れるし上手に盛れるって思ってたらスーパーをやめるっていう女が立ち上がって主任がみんな聞いてーってゆって女がしゃべりはじめて私この女知ってるって思ってすごくうれしくなってきた。私がはじめて休憩室にいったときにお弁当を食べてもいいってこと教えてくれた女だ。お総菜の。もうすっごく楽しくなってきちゃって、私も立ち上がって
「お総菜の! お総菜の!」って女を指さして叫んでたら女はばんざいしてくるくる回り出して
「はーい。お総菜です! お総菜です!」ってゆってて、スーパーのみんながゲータゲタ笑ってて、私もすっごく楽しくなって、キャーッてゆった。みんながどんどんあっちの席へいったり、こっちの席へいったりして、フルーツバスケットでもないのにおかしいね! 私さいしょに座ったとこに座っててお刺しみの大きなお皿にいっぱい乗ってた白い紐みたいなやつを食べてて、主任が私の前に座ったから
「この紐みたいなやつとってもおいしいです。」ってゆったら大根なんだって。うっそ大根もっと太いじゃん。千切りだって。キャーッ!
「主任、私、ここにあったお刺しみ、もうないですけど、みんなと私が食べたからないんですけど、さっきまであったお刺しみ、でも私のほうがぜったいもっとちゃんと切れるって感じします。どう思いますか。」ってゆったら主任は
「でも結構ひどかったよね。」ってゆって
「そうそう、ぎゅっと握って、のこぎりみたいにギコギコ切ってるんだもん、盛り付けんときも左手で刺し身握って、一切れずつ右手に持ちかえてトレイにのせてくんだから、あれ買ってったお客さんかわいそうだよね。」って他のお魚の女たちがジャーンジャーン笑ってて、私はずっと上手く切れてたのに、みんなから見るとそうじゃなかったってこと、きゅうにこわくなってきて、あとさむくなってきて、外がすっごい寒いのは当たり前だけどお店の中はあついくらいだったのに、きゅうに風邪ひいたときみたいな感じでさむくなってきて、手でひざをぎゅっとつかんで、だれもいない上の方見てたら、
「でも最近評判いいらしいじゃない。」って隣にきてたお総菜がゆって、
「そりゃあ今はキリならうちで一番なんじゃない?」って主任がゆって、お魚の女たちがそうそうって首を牛みたいにふってて、
「キリもそうだけど、普通に仕事できるようになったよね。」ってゆって、いっしゅん息できなくなって、ちょっと止まって、それから、
「そうかな?」ってゆったら、
「そうだよ。」って主任がゆって、私、
「えへへ。」ってゆった。もっぺん大根食べようとおもっておはしを持っておはしの先っぽが大根のとこまできたらきゅうにぶるぶるーっておはしの先がふるえだして、びっくりして、なに、て思ったらぼろぼろーって涙でてきて、私泣いてるってわかったら、あーん、あーんってゆって泣いてて、今度は体が重たい感じしてちょっとずつ目が覚めてくるのわかって、あれ、ここおうちじゃないって思って、あ、そうだ、私修学旅行に来てるんだ、と思って、そんなことない私もう大人だし、修学旅行じゃないって思って、どこだろここって思ってたら
「ようやく起きたの。」って主任の声して、ここは主任のおうち。居酒屋からいちばん近いからって、昨日の夜、私ぐにゃぐにゃになってて連れてきたって言われて、ずっと前のことみたいな気がするっていうか、別の日の感じするけど、私がお酒を飲んで、だれかが私をその人のおうちにつれてくみたいの、言われるとそういう記憶ある。でも私のことじゃなくてテレビで見たって感じもする。そういう私の記憶のことと関係なく私はリアルに主任の家にいるってことだから。お昼ごはんを主任が出してきて、ごはんとおみそ汁ときんぴらのごぼうさんと、お肉のショウガ焼きで、テーブルに私の分と主任の分をならべて、先に食べててってゆって、主任はおぼんにもう一人分のせて
「うちの息子は部屋で食べるから。」ってゆってリビング出て階段あがってく音して私はおみそ汁を飲んでた。遠くの方でたっくん、ごはんおいておくからねって聞こえて私はおみそ汁を飲んでた。二人でテレビ見てからもうお店に行く時間だからってゆって、私がのんちーのリュックを背負ったら主任が
「前から言おうと思ってたんだけど、もう少しなんとかしようよ。」ってゆって私
「あ、のんちーの耳はちぎれちゃってますけど、うちに帰ればどっかにあると思うんですけど、なかなか探すのも大変で、そのままになってるってとこありますね。」ってゆった。
「えっ。」って主任がゆったからあたしもわかんなくなって
「えっ。」ってゆった。まとめると、主任は私のファッションのことを言いたいってことで、私おかしくってカパカパ笑いながら
「私CanCam買ってますけど?」ってゆった。とりあえずパートに出ることになった。私お刺しみピシャーッて切りながらずっと考えてた。私たしかにCanCam買ってて、かなり用語を覚えてるけど、ザンジバァールには行けなかったから自分でずっと毛先をととのえてる。二か月に一回くらい毛先を全面的にととのえてて私の髪形が強くなる。むかしお母さんが美容院にいっしょに行ってあげるってゆってそのとき私はかなり怒ってたから私がマックス毛先ととのえてて美容院よりすごいからって大きな声でゆって、お母さんがじゃあいいけどってゆって、美容院には行ったことない。のんちーの中からCanCamの付ろくの髪の毛の図鑑を出して、ザンジバァールで私怒って図鑑をばらばらにしたから、お布団の上に並べて、復活させようと思った。私はドーリィ♪カノンの髪形が本質的なセンスだとばらばらにしたとき思ったけど、カノンができるセンスと私ができるセンスはちがってること可能性ありえるかもっていう、世界のシステムに私お刺しみ切ってるとき到達した。お部屋のまどの下のところにケータイの箱や袋がつんであって、その下に服とか、あとむかし服だった布とかがつんであって、その下のところに手をぎゅっと入れるとあったかくて、中からセロテープが出てきて、履歴書にチャミの写真を貼ったときに使ったやつ、ついに使うときがきたって思って、びりびりになった図鑑を並べてセロテープでつなげて復活させて、
「どの髪型が強い?」って聞いたらカレシは喫茶店で
「これかな。」って指さした女。みんな髪の毛が茶色で、私何回も他の女と見比べても茶色のすごさが同じに見える。
「そうなんだ。」ってゆってじっと見てても髪の毛の茶色のすごさのちがいがわからなくて
「どの辺が好きなかんじ?」ってきいたら
「おれショートが好きなんだ。」ってゆって、私
「ヘイ!」ってゆって店員を呼んでショートケーキを注文したらカレシ
「違う違う。ショートカットが好きって意味だよ。」ってゆって私
「そっちのってわけね。」ってゆって、今の言い方はかなり大人の女の力が上からカレシにふってくるかんじした。


(つづく)