OjohmbonX

創作のブログです。

たっくんはいない(16)

もう私のおうちじゃないんだって。うちのものみんな積んでトラックどっかいった。しょうがないからお散歩しててみんな私みてくる。私のマックス魅力にびっくりしてる。ジーパンにTシャツの人たちが、私のエレガンス見てドギモむかれてるってかんじ。風になりたいって思って私すっごく早く歩いた。大またで歩くとドレスのすそがかっこよく動いてセックスアンドのシティ感じして私の町がリッチミーニューヨーク。それで気づいたら公園きてなつかしいなって感じして立ち止まったら汗がいっぱい出てきた。でも私しってる、いっぱい汗でても川はできない。メイクがくずれるってだけ。公園だれもいない。むかしあんなに猫いたのにいない一匹もいない。ベンチないからライオンの形したやつに座った。子どもがまたがるやつ、私ももしかして小さいときまたがったことあるかな。もともと黄いろだったと思うけどはげてきてる。かたいからおしりいたい。バッグから履歴書だした。職歴がすっごく充実してる。でもなんにもだめだった。チャミの写真がはがれかけてる。セロテープが透明だったのに黄色くなってぱりぱりになってた。チャミすっごく笑ってる。みんなこんなに優しいのに、あたし一人になった。こんな履歴書いみないって思った。こんな履歴書、こんなの、って思ってびりびりに破いてまいたけど風ないからバラバラ落ちた。すっごく蒸しあつくて息くるしい。ため息みたいに大きく息したけど体だるい。主任のおうちで見たダンスのこと思い出してた。あんなに優雅ってことたぶん世界の一位。私が今こんなかっこいいドレスで踊ったらもっとすごいって思って私立ち上がってくるくる回ってみた。そういえばお母さんいないから砂場にいっても怒られるわけないってこと気づいて、すっごく自由だって思って砂場いった。足をさっとけり上げたら砂がぱってまい上がった。体ねちゃねちゃするから砂が体にくっついて気持ち悪い。もっと速く、もっと! 足をさっさって大またで前後や左右に動かして、砂とまっ赤な裾がまい上がって、私まるい砂場をくるくる回った。踊りながら上見たら空あってすっごい黒いくらい青い、あたしまっ赤なのに。やっぱたっくんにあいたい。
 あいたいよ。あたし、あいたい。たっくん、あたし、たっくん!
 のぞみはここにいるよ!
 たっくんって名まえで、たっくんみたいにしゃべって、たっくんってゆうカレシ、それであたしを触ってくれる、そうゆうたっくん、一人のなかに詰めこんで、あたしの目の前にいてくれるってことを、のぞみはずっと望んでるよ。さいしょからずっと。
 うそみたいにすっごく速い。私マッシーンみたいに回って景色なくなってきて気持ちもなくなってきて苦しいって感じ消えてった。夕方のあと夜になったら涼しくなって暗くなった。公園いてもしょうがないからあたしもう帰ることにした。でもどこに帰ったらいいんだろ。


(了)