OjohmbonX

創作のブログです。

殺人電車

 今は自動車通学ですが,高専に入学した当初から4年の夏休み前までは電車通学でした.
 利用していたのは路面電車だったため,通常の専用線路を走る電車に比べ幅の狭い小さな電車でして,4,5校ほどの生徒が利用するので,時間帯によってはそれはもう,筆舌に尽くし難い殺人的な混雑ぶりでした.
 僕の通っている岐阜工業高等専門学校の近くには岐阜第一高等学校(男子校)があり,学校帰りに駅で電車を待っているとその第一高校の生徒が先に乗ろうと無理やり前に割り込んだりしたものです.死ね死ね死ね死ねなどと心の中で唱えつつ電車に乗ると,その第一高校の生徒は座席を荷物で占領するのは可愛いもので,土足で座席に足を乗せる,座席に寝転がる,大声で猥談を始めるなど全く文化的な電車の乗り方を理解していないようで,僕はあほあほあほあほと心の中で毒突いていました.もちろん第一高校の生徒の中には良心的な学生も居るものと思いますが,大多数は文化度の低い生徒だと憎しみを込めつつ認識しております.
 それに比べて途中から乗ってくる岐阜高等学校の女子生徒などは,あらあなたここ空いているから座りなさいよ,いやいやあなたこそ座りなさいよ,じゃああなたも私も座らないわ,それがいいわおほほほほ,これぞ正しく譲り合いの精神.しかし混雑している電車の中で僕の隣だけ空席のままにするのは,まるで僕が悪臭でも放っているかのように他からは映る恐れがあるので止めて頂きたい.もしや本当に僕は悪臭を放っていたのでは,という恐ろしい疑念に一瞬取り付かれましたが,それ以上考えると自分自身のこれまで積み上げてきた経験などに基づく自信があっさり崩壊してしまいそうなのですみやかに思考停止.あれは真に譲り合いの精神だったということにしておきます.
 僕は行きも帰りも電車の中では寝ていることが多かったのですが,行きで乗り過ごしたことは3年半の間に一度もありませんでしたが,帰りは終点で降りるという安心感からか,車掌に起こされることがままありました.帰りは夜であることが多く,外は暗く,車内は明るい,つまり外からは中の様子がよくわかり,しかも終点は新岐阜駅という人が多く集まるところというわけで,あれみんなが降りていくのにあの子だけ車内にいるわ,寝過ごしているのだよ,まあなんてあほな子なのでしょう,面白いねえあはは,本当だあはは.これは恥ずかしい.しかも起こされて慌てて電車を降りたがために傘を忘れて後日駅の事務所に取りに行くなどさらに恥ずかしい.
 
 あれも,これも,それも,みんな過ぎ去ったことです.目が覚めたらよだれを垂らしていたこととか.