OjohmbonX

創作のブログです。

 光工学という授業で先生がある女子の人を指名して,もし小さな子どもに「お姉ちゃん,屈折率って何?」と訊かれたらどう答えるか,という質問をしていた.その先生としては恐らく,屈折率関連の式を示して計算を行うなどする前に,そもそも屈折率の物理的な意味を生徒が理解しているのかどうか把握したかったのだと思われるが,それにしても,そんなことを訊く子どもなんているのだろうか.
 
「なあ,お父ちゃあん,屈折率って何ぃ?」
 まだ幼稚園の年長さんである息子にこう訊かれて,お父さんはびっくりしてしまいました.
「や,ゆう君,なんでそんなこと知っとるんやて.え,お父ちゃんはわからんで,お母ちゃんに訊いて」
 ゆう君は台所で夕食の支度をしているお母さんに訊きました.
「お母ちゃんは,まあ,わかるんやけど,まだ,ゆう君にはわからんかもしれんねえ.もうちょっと大きくなったら,ねえ.え,お父ちゃんわからんって言っとったの? まあったくお父ちゃんは都合の悪いことは全部お母ちゃんに」ぶつぶつ.
 結局お母さんも屈折率のことを教えてはくれませんでした.仕方がないのでゆう君は子ども部屋に戻りました.お部屋ではゆう君のお姉さんが勉強机に向かって座っていました.小学5年生のお姉ちゃんならもしかして……
「お姉ちゃん,屈折率って何?」
 顔を真っ赤にして狼狽しながら「なんなの,今度そんなこと訊いたら,本当叩くよ!」
 ゆう君はお姉さんを見て,屈折率のことは訊いちゃいけないことなんだ,とぼんやり思いました.