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　朝起きると左腕と右太腿に引っ掻き傷が何本もあった．このようなことは今までになく，驚きすぎて鼻血が出そうな感じだったが，「感じ」だけで実際には出なかったので，着替え，朝食をとり，いつもより顔がつるつるしていたので顔を剃らずに，学校へ行った．昼ごろには顎や頬がざらざらしてきたのでやはり剃ればよかったと後悔した．
　眠っている間に昨夜切ったばかりの爪で掻いたらしい．と傷を見せながら同級生に話したら，それはあなたの父親があなたの睡眠中密かにあなたの腕を何らかの道具で引っ掻いたのですよ，と言われたのでへらへらした顔で，そんなわけないだろよー，なんてへらへら答えましたが僕の拳はふるふる震えていたの．の．恐らく何らかの加齢に伴う病気の前兆だと思われる．僕の80歳の祖母も，何もしていないのに手が震える．
　その同級生が昼休み中に校内にある自動販売機で90円のジュースを買おうとして千円札を入れたところ，紙コップ2つ出力，ジュースは出力されず，お釣り返却ボタンを押すと120円の出力．紙コップ2つを880円で買う男．溜飲が下がるとは正にこのこと．因果応報．
　それにしても痛い．左腕及び右太腿の引っ掻き傷が夕方ごろになってから痛み始めた．これも因果応報なのか．だとするとこの痛みに対応する僕の過去の悪行とは一体何なのだろう．今思いつくのは，先日同級生に今年もスポーツテストが実施されると言ったが予定表で確認してみるとどうやら行われないらしく，結果的に図らずもその同級生を謀ってしまったことがある．が，これは全く意図的ではなく，むしろ僕もある人に騙されていたというか，痛みはその「ある人」に生ずるべきというか．なんて言い訳をすることでこれが悪行と見なされさらに因果応報．痛み倍増．となるのだろうか．無慈悲．
　今「見なされ」と特に意識せず書いたが，誰が「見なす」のだろうか．「因果応報」を広辞苑で調べても「善悪の業に応じて幸不幸の果報を生ずること」としか書かれておらず，何によって「善悪の業」が判断されるのかはわからない．もし善の業，悪の業がきちんと定義されているのだとしたら，それを調べた後，善の業を行い悪の業を行わぬ努力をするし，自分以外の何か，例えば神や仏が善悪の業を判断するのであれば，そいつらに気に入られるように努力するし，自分で判断して良いのなら，自分の考える善の業を行い悪の業を行わぬ努力をするが，何にせよ結局僕はそういう類の努力はしないんじゃないかなあと19年生きてきてしみじみ思う．
　とりあえず，これからは爪を切った後はやすりがけしよう．