OjohmbonX

創作のブログです。

 昨日「情報伝送工学」という授業中に先生が「好きな抵抗を入れた場合の」云々と言っていたことをふと思い出した.「任意の抵抗」という意味で「好きな抵抗」と言ったのだろうけれども,それを聞いたときに,
 押し付けるように手渡された小箱を開けると10kΩの抵抗が入っていた.いつか二人で買い物をしたときに,ショーウィンドーに飾られていた抵抗を私が眺めていたのを覚えていたのだろう.この抵抗は結構な値段だったはずだ.彼にとっては経済的に相当な負担であったに違いない.
 彼は厳つい顔をしている.照れているのだろう.私は彼が急にいとしくなった.欲しかった抵抗が手に入ったからか,彼が私のために経済的な負担を厭わなかったからか,彼が照れているからか,それとも他の何かのために,あるいはこれら全てのために,私が彼をいとしいと思うのかと考えた.どれにせよ,短絡的だと思った.