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「見知らぬジジイは良いジジイ」というフレーズに捕われてしまい，見知らぬジジイは良いジジイー．ハイ！　見知らぬジジーイは良いジジーイ．ハゥ！　見知らーんぬズィーズィは良いズィーズィ．ポゥー！　と調子に乗って頭の上で手を叩きながらスキップ状の足取りで家の中を歌い踊り回っていたら，灰色の冷たいかさかさした極小さな塊が鼻から入って肺に到達すると瞬時に増殖して体内に灰色の冷たいかさかさが充満したかと思ったら毛穴からかさかさがぽろぽろと零れ落ち，というか平たく言うと虚しくなりました．
　これまでも（もちろん家に自分以外誰もいないときに）何かのフレーズに捕われて歌い踊ることはあったのですが，ある程度時間が経つと他の事に興味が移り，自然にフレーズから解放され，今日のように虚しさが満ち溢れるようなことはなかったのに．これが大人になるということなのでしょうか．大人は虚しさが毛穴から零れ落ちないように，家の中で歌ったり踊ったりしないのでしょうか．僕は，もう，「大人」であるがために，歌ったり踊ったりできないのでしょうか．
　や，まあ，断言はできないけれどもたぶん後2年くらいはすると思う．何とか後2年くらいで止めたいけど無理なら，まあ，30歳くらいまで続けても良いかな，とぼんやり考えていますが，30まで続けたら，もう，死ぬまで止められないのではないかとも考える．怖いけれどもどこか楽しい感じ．