OjohmbonX

創作のブログです。

 納豆は努力が結果に直結する食品であって,努力とはすなわちかき混ぜることであり結果とはうまみである,とはどうも思えない.先日あるテレビ番組で納豆の特集を組んでおりその中で,かき混ぜただけうまみが引き出される,というようなことを実験により検証していたが,自分では100回くらいが最もうまいと感じられる.多くかき混ぜると科学的なうまみの成分は増加するのかもしれないが,口にしたときの反発する,自己主張する感じがなくなる.近頃女性が男性に監禁されるという事件をいくつか耳にしたが,どこかで何かの専門家だかコメンテーターだかが,監禁され虐待を受けると始めのうちは抵抗するが,しばらくすると,もはや逃げ出そうと思うことすらしない,というようなことを言っていたが,納豆もそのようなものか.しかし無抵抗な相手をやっつけても何にもならない.例えば,碁でも相撲でも拮抗する二つの力がなければ最高の一局,一番は絶対に生まれない.食う僕と食われる納豆のせめぎ合いがうまみを生じさせるのだが,一切かき混ぜない納豆ではその力が僕の力量を上回るため,100回程度のかき混ぜにより力をいくらか削ぎ落とさなければならず,言うまでもなく,最上の二つの力が相対するときに最上の状態が現出するのであり,従って,現時点での僕―納豆間に生じるうまみは最上のうまみではない.いつか,かき混ぜられていない,強大な納豆と張り合えるような力を備えたいと思う.
 ところで,昨日フジテレビ系列で放送されたテレビ番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」では肝臓の特集をしており,どうやら僕の肝臓は弱っているらしいということ,納豆は弱った肝臓を救うらしいということが分かったため,今夜も納豆を食べているがやはり100回程度のかき混ぜが必要であり最上のうまみは現出せず自分の不甲斐なさを嘆くと共に納豆の最大限のパフォーマンスに似つかわしい力量を持ちたいと願うが具体的な努力の仕方がわからないため明日も100回かき混ぜます.