OjohmbonX

創作のブログです。

 帽子を被ったまま授業を受けている人を見つけ「取りなさい.喫茶店じゃないんだから」と不可解なつっこみを見せて,「光工学」の全講義が昨日終了した.
 他にも非常勤講師彼は「これであなたがたの授業を持つことはありませんが,またどこかの道で会うかもしれません」,「私は岐阜大学のA611という部屋にいるので,たずねてきてください」などと言う,学生私の提出したレポートに「字を小さく書く癖を直さないと将来損するよ」というようなことをほとんど判読不能の字で書く(果たしてどちらが「損する」のだろうか),試験中に学生の答案用紙を顔を2,3cmまで近づけて覗き込む,また,試験中に(彼の勤めるのとは違う大学の)編入学試験の結果を(答案用紙を覗き込んだのと同じ,私の右隣の席の)学生に訊く,授業中に英語で書かれた「光工学」関連の書籍を取り出して一渡りそれを褒めた後「最近は英語でしか論文を書かなくなった」と言わずもがなのことを言うなど,毎週の講義の随所に惜しみなく無類のずれっぷりを発揮し,学生私(ないし講義を受けた多少の学生ら)に大きに強い印象を与えて去った……
 ある日の講義の最後に授業時間が余ったからと太極拳(簡化太極拳)を披露し始めたときに,彼は教卓の前にいたのだが,徐々に北,教室の出入口の方へと移動した.妖しくもしんと静まる教室を,ゆったりした太極拳の動きのまますうっと(荷物を残したまま)去れば完璧だと私は考えたが,ドアの前で動きを止めて振り向き「こんな感じです」と言ったのを聞いて,やはりずれているなと感心させられた.