OjohmbonX

創作のブログです。

営業

「パトロールを終えて帰ると理由も分からず締め出されてから4日経ち乾涸びて頭がぼろぼろ崩れるアンパンマンを冷たく見下ろしながら『どうせ頭変えりゃア元通りになるんだから,別にいいでしょ』と嗤うバタコさんか,それとも,『あんたの餡なんて,あたしの糞で十分なのよ』と言いながら大便をカレーパンマンにぶち込む様を見せ付けてアンパンマンは結局乾涸びたままにしておくバタコさんか,どちらが良いとお考えですか?」
「あのう……営業でいらっしゃったんなら,商品の説明を,お願いしたいんですが……」
「いや,さすが,御明察.花占いよろしく眉毛を一本ずつ抜かれて『……好き,嫌い,好き,……嫌い.おおおおおお.ぶぉくを嫌うなんて,許さない,あり得ない,あり得ない,許さない』と呟くアンパンマンに衆人環視の中殴られながら恍惚とするバタコさんです」
「いやいやいやいやいや.だから,商品の説明を……というか『御明察』って何ですか」
「ええ,バタコさんMは実現され商品化もされているのですが,実は,バタコさんSはまだまだ難しい,という業界の事情を,さすがによく御存知だと.集積化技術が限界に達しつつあるんでしょうか」
「私はカラー複合機の案内だと聞いていたのですが,そんな,わけのわからない,バタコさん(?)の話でしたら,私も忙しいので」
「もちろん複合機ですよ.オプションとして殴られながら恍惚とする機能があるだけで,プリンタやスキャナ,ファックスの機能は当然ついていますよ.こちらのカタログを御覧下さい」
「……これは,どう見ても,人間,その……,バタコさんにしか見えないんですが……」
「ああ,すいません.この写真はちょっとわかりにくいのですが,頭頂部に書類の投入口がありまして,最大A3の紙まで使用可能です.口から,カラーですと毎分50枚印刷されます.音声認識機能により操作も簡単ですが,腹部にあるタッチパネル式の液晶モニタからでも操作が可能です」
「出力される紙には唾液,」
「もちろん唾液は,ラベンダー,金木犀,畜産センター,バラ,ヒノキ,等々各種香りを選択できます」
「紙がべたべたになっ」
「速乾性ですから出力されるのとほぼ同時に乾き,香りだけが残ります」
「……では,お値段は」
「ありがとうございます.130万円です.こう言っては何ですが,例えば富士ゼロックスさんの同程度の複合機と比較しますと,8割ほど安価でこれは当社の独自の技術により開発したためコストがかなり抑えられているんですよねえ御購入を検討して戴けますかあ戴けますよねえ戴けないと私は会社に帰って上司に眉毛を一本ずつ抜かれて好き嫌い好き嫌い嫌い嫌い嫌い嫌いぼこぼこぼこぼこぼこぼ」
「わかりました,あの,前向きに,検討いたします」