OjohmbonX

創作のブログです。

野生動物と人間の共生について

 2005年のニュースの中で最も印象深かったのは,ガードレールの継ぎ目に鋭利な金属片が挟まっているのが全国千数百箇所で見つかったという事件.結局,金属片はガードレールに接触した自動車の一部であると何となく結論づけられ,人間の生活の場が拡大し,野生動物の生活の場を侵蝕しているという問題は隠されてしまった.
 生活の場を狭められた野生の猿,猪,熊……が山村の,あるいは町の農作物を荒らす,そこに住む人々を傷つける.人々はそれら野生の動物とどのように共生すべきか……というようなことをあちらこちらのニュース番組で特輯・放送しているのに,どうしてどこも,野生の忍者については目を瞑るのだろうか.ガードレールに刺さった手裏剣が,彼らの生活の場を人間が奪ったということを明示しているというのに.
 もしかして気づいていないのだろうか.確かに「鉄製で縦長の三角形、先が鋭く包丁の刃のようにとがっている」だけの金属片を素人が手裏剣であると判断するのは難しいかもしれない.それに猿とか猪とか熊とかに比べて,野生の忍者はその性質のため,目に付きにくいかもしれない.しかし,警察が調べてわからないはずはないのだけれど……
 混乱を恐れて公表しないのかもしれない.皆が気づいていないだけで,特にここ3年,そこかしこに野生の忍者をよく見かけるようになった.学校で授業を受けていて教室の中に密かにいるのに気づいたことさえある(もちろん野生の忍者は非常にナーバスなので生徒が(僕が)騒ぐようなことはなかったけれども).年間3千人弱が野生の忍者に殺されていると知ったら,(忍者に対して無知な人々の)混乱は避けがたいかもしれないが,いつまでも隠しおおせることでもないだろうに.
 ちなみに,忍者に対して無知な人たちのために強く言っておくけれども,野生の忍者は基本的に人を襲うということはない.ただし,前に書いたとおり野生の忍者は非常にナーバスで,ふいに忍者を見つけてしまった人が騒いでしまうと,忍者は人をすみやかに殺します.忍者は,誰かに見つかる,騒がれることを非常に嫌うという性質を持っているので,もし気づいたとしても気づかないふりをし続けなければなりません.という忍者に対する正しい知識を広く知らしめるためにも,やはり,野生の忍者の問題については公表すべきだと僕は考える.


 それから,もう一つの主要な「野生の忍者の問題」について言及しておかなければならない.それは,海外からペットとして輸入された忍者が,飼いきれなくなった飼い主によって山などに捨てられ,外来種が日本固有の種を駆逐しているということ.そのために,さらに野生の(日本固有の)忍者が人間の生活の場へと追いやられているということ.


 つまり,野生の忍者は外側(人間の生活の場)からも内側(野生の忍者の生活の場)からも居場所を奪われ続けていて,どちらも元は人間に原因するということ.
 これを世の中のより多くの人が自覚することが,この問題を解決するためのステップ0であるため,僕はこのエントリを書かずにはいられなかったのだ.