OjohmbonX

創作のブログです。

キャシーのこと

 先週から連日,学校に遅くまで残って作っていたのは「とんでもなくお口がだらしなくてエロティックで意地汚い女,キャシー」(略称TOEICであるが,以下キャシー)であった.


 「電子システム工学実験」で,2,3人ずつの班に分かれて「自立移動ロボットの設計・製作」を行った.(ちなみに,私は5班あるうちの第2班に編入.)

 槍を装備した槍騎兵(ランサー)ロボットが,周状のコースラインに沿って周回し,コースラインの左右にある色々な種類と大きさの標的を100秒間にどれだけ正しく突きながら周回できるかを競います.

 以上は「競技ルール」,「概要」の一部.ロボットは黒地に白色のコースラインを赤外線センサー(フォトインタラプタ)で読み取り走行し,コースラインの両脇の空中に吊り下げられた円盤(標的)を槍で突く.標的を突くなり,周回を重ねるなりするたびに,得点が加算され,得点を多く獲得したマシーンを製作した班が優勝となる.周回を多く重ねるために,あるいは,標的を多く突くために,多くの班はマシーンを軽量化しスピードアップを図った.マシーンは100秒の競技時間で3,4周するのが普通であった.

 しかるに,我々第2班が製作したロボット,キャシーは,その重量のために100秒の競技時間中に10分の1周程度しか進まなかった.(ちなみに,上の写真で右がマシーンにとって進行方向となる.)


 (鼻以下の,舌をだらしなく垂らした)顔は,エポキシパテにより造形した後,白色(マッドホワイト)のスプレー塗料で塗装.


 キャシーは,前面斜めに槍を適宜飛び出したり,引っ込めたり,してコースの両脇にある標的を突くよう設計されてあるが,キャシーが突き得る標的に到達する前に100秒間の競技が終了せられてしまったため,3度のトライアル中,我々第2班の得点は全く加算されなかった.さらに,競技開始直前に教官から,赤外線を用いた無線装置(リモコン)によりマシーンをスタートさせることができなかった場合,得点を100減ずる,という新たな規則が加えられた.「電子システム工学実験」の最初に生徒我々へ配布せられた資料「競技ルール」中にその規則は存在せず,第2班はキャシーに赤外線リモコン装置を一切搭載していなかった.したがって,キャシーは(我々第2班は)3度のトライアル全てにおいて-100点ずつを獲得した.(優勝,準優勝した班は500ないし600点台を獲得.)

 2つのサーボモーターを用いることで,槍を格納,回転,突出せしめる.2つのサーボモーターは1つのPIC(16F84A)により制御され,また,このPICは他のPIC(16F877)により制御される.16F877は他に,赤外線センサーからのライン情報の読み取り,車輪を回すモーターの制御などを担当する.


 また,別のPIC(16F84A.これも16F877により制御)が緑色の高輝度LED12個を蛍のように明滅させ,マシーン背面に「TOEIC」の文字を浮かび上がらせるのであるが,光量が足りなかったために,競技中観客(下級生,上級生),教官の誰にも気づかれなかった.


 マシーンの計画段階のはじめに,第2班3名のうち,1名(私)が,この課題は毎年出されており,高得点の獲得を目的として製作せられるマシーンは(そこに何らかの,少なからぬ工夫がなされるにせよ)昨年以前と大差ないものになるだろう.それは私としてつまらないので,ぜひ,高得点の獲得を目的としない,外観にこだわった(マシーンの全体をカバーで覆うような)マシーンを製作したい,という意味のことを言った.それに対して他の1名が,「外観にこだわ」ることはともかく,高得点の獲得を目指したい,という意味のことを言った.残る1名は,どちらにも左袒しなかった.
 私は,ここで言う「外観にこだわ」ることと,高得点の獲得とは背反する,ということを説明して,また,「他の1名」が強硬でなかったこと,「残る1名」がどちらに賛成も反対もしなかったことをいいことに,結局,私の主張を押し通した…….ロボットの名称を「とんでもなくお口がだらしなくてエロティックで意地汚い女,キャシー」にするという私の提案に対しては,どちらも別に反対しなかったが.
 マシーンの製作においては,第2班3名のうち,1名(私)が回路と外装との製作とプログラミングを,1名がメカニズム(機械装置,機構)を,1名がその他を担当した.
 (ちなみに,「どちらにも左袒しなかった」,「メカニズム(機械装置,機構)を」「担当した」班員と,先日書いた「自戒」(id:OjohmbonX:20060602)中の「彼」とは同一.競技会前日から当日にかけては,午前5時まで作業に付き合ってくれたり(その後学校の近くに居住する彼は帰宅し,私は研究室で1時間半の睡眠.),マシーンの製作のおりおり,厄介を積極的に,全く嫌な素振りを見せずに引き受けていた彼に対する私の好意はいや増したのであった.ある日,昼休みを潰して彼に作業をしてもらっているときに,私は,「もし君が昼飯を食べられないことになったら,責任をとって(?),僕が君の昼飯に,喜んで,なります.」と言った.相手の身体そのものになりたいという極上の恋情.彼が何か言いかけたところを,私は「そういう,レトリックみたいな,なんていうか,」とか何とか言ってお茶を濁したのであった.今度,「ねえ,君,疲れないの? ひねもす僕の心の中を走り回っていて.」とでも言ってみるつもり.頭のどうかしている風を装っている風を装いつつ.)


 競技会の結果,我々第2班の製作したロボット,キャシーは,得点において圧倒的最下位となった.しかし,競技後に,観客によって選出される「アイデア賞」を圧倒的支持を得て(満場一致で?)受賞した.
 アイデア賞の賞品はビール券3枚(キリンビール大瓶2本,アサヒビール大瓶2本,好きなビール大瓶2本の券各1枚)であった.アルコール飲料を飲まず,体質的に飲めない私は,ビール券を受け取らないつもりであったのに,どうしてだか結局,ビール券2枚(キリンビール大瓶2本,アサヒビール大瓶2本の券)を貰った.私は券とキリンビールアサヒビールの大瓶各2本を酒屋で交換し,それらをキャシーに飲ませてやると美味そうに飲み干し,槍を激しく出し入れした,というようなことのあるはずもなく,券は2枚とも父にやった.