OjohmbonX

創作のブログです。

オリエンタルな僕と野球童女の万物創世コンタクト

 気配に振り向いてみれば,眼前に野球のボールがあって.
 駅の構内.混雑しているわけではないが,閑散ともしておらず.営業のサラリーマン,夏休みの親子連れ,商品を納入する業者の人,制服姿の女子学生,清掃のおばさん,駅員……誰もが息を呑むような緊迫した顔で,僕を見つめる.ボールの先には,次のボール,次,その次……無数の僕の顔面へと向かうボールを追っていくと,投球動作途中の,童女.20m先の,童女.
 東洋の千代大海と言われた僕を,舐めるなあぁあぁぁ! というわけで細かく回転の良いつっぱりを繰り出し,僕の顔面へと向かうボールを一つずつ適切に粉砕していったのでした.もちろん,僕はオリエンタル千代大海ですから,腰を落としてすり足で前進することも忘れません.全てのボールを適切に粉砕し,童女との距離30cm.伸びる童女による右ストレートは,顔面直撃,を免れ得たのは眼鏡が防いでくれたから.僕は,僕の眼鏡が粉末になって空中をただようのを,不思議な気持ちで見てたけど,私,泣いたりするのは,違うと感じてた.なぜなら,童女が僕の精神的なまわしを取りにきていたから.もろ差し狙い.東洋の栃東と言われた僕を,舐めるなあぁあぁぁ! というわけで素早く強烈なおっつけで僕は僕の精神的なまわしを死守した上で,童女の頚動脈に対しての親指と人差し指による今世紀最高のマッサージを厳粛に開始したのでした.
 僕が眼前の野球ボールを認めてから,マッサージ開始まで,0.5秒.
 駅構内に響き渡る,拍手・喝采.
 僕の精神的なまわしを決して諦めず狙い続ける童女に,僕は今世紀最高のマッサージを施し続けながらも,僕のオリエンタルな栃東は幾度もくじけそうになるけれど,僕のオリエンタル千代大海が慰撫し続けて.
 僕は目を閉じる.音が遠のく.物が消えていく.ただ真っ暗な中に,僕と童女が,拮抗しながら回転している.頚動脈の揉み続けるあたりが静かに光り始める.光は,次第に強く,大きく,なる……漂っていた眼鏡の粉末が,ひとかたまりになって,僕たちの周りを回り始める……ああ,これが,地球なのね……


 といった理由で眼鏡を失ったというわけではないのですが,今日,コンタクトレンズを購入しました.


 それにつけても,あるテレビ番組のインタビューで,先日左手首を骨折した野球選手の松井秀喜が,あのとき手首が曲がっちゃいけない方向に曲がった,と語っているのを聞いて,僕は,それなら「手首が曲がっちゃいけない方向に曲がるタイプの野球選手」としてこれから活躍していけばいいのに,と考えたのですが,所詮,浅はかな素人考えでしかないのでしょうね.