OjohmbonX

創作のブログです。

就職難民ではない

 「変態、急募!」と書かれた求人広告を見てさっそく行ってみた。通された部屋には俺のほかに面接待ちの人がいた。信じられないほど林家パー子に似ていた。というより髪型、顔、声、服装、どれをとっても林家パー子その人だった。唯一の違いは、コンパクトデジカメではなく、ポラロイドカメラを手にしていたことだった。
「あ、面接ですか? 俺もなんですよ。お互い受かるといいですね」
「アハーーーッ!」
 にせパー子は俺のメガネのレンズに指を押し付けてきた。レンズには指の脂がべったり残った。
「何するんですか!」
「アハーーーッ!」
 にせパー子はカメラを自分のスカートの中につっこんで撮影した。その写真を俺に渡した。
「何なんですか?」
「アハーーーッ!」
 にせパー子はくるくる回りはじめた。どピンクのスカートが浮き上がった。下着をつけていないにせパー子の下半身があらわになった。
「何してんですか!」
「アハーーーッ!」
「ヘイッ、面接スパンキングターイム!」
 サンバ・カーニバル(?)にありそうな衣装を身に着けた力士体型の男(頭にはマゲ)が5人、部屋に入ってきた。
「スパンキンッ、スパンキンッ!」
 男たちは互いに尻をたたき始めた。
「面接ゥッ! スパンキンッ!」
「アハーーーッ! 面接ゥッ、アハーーーッ!」
 俺は静かに部屋を後にし、帰途についた。
 変態とは、何なのだろうかと思った。俺は変態ではないのかもしれない。俺の手には、にせパー子の性器の写真があった。マクドナルドに寄った。「これ……。」にせパー子の写真を出した。ハッピーセットが半額になった。かわりに店の奥からにせパー子とカーニバル力士が出てきた。
「あのぅ、ハッピーセットのおまけのおもちゃが入ってないんですけど」
「こちらがおもちゃになります」
「アハーーーッ!」
 とんでもないことになった。もれなくにせパー子とカーニバル力士がハッピーセットについてくるという。自宅までついてくるという。
 俺はただ、就職したいだけなのに。