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OjohmbonX

創作のブログです。

知らぬがほとけ

 彼は色々あって死んでしまったので、千の風になった。千のうち、およそ8割が偏西風に巻き込まれて行方知れずとなったため、残りのおよそ2割、すなわち約二百の風でふるさとへと向かった。
 しかし風社会は体育会系だったため、先輩に誘われれば断らぬわけにはいかなかった。
「カレー食いに行こうぜ。ココイチ行こうぜ、ココイチ
「じゃあ、ぼくの0.5%だけ付き合いますね」
「新人のくせに0.5%なんて生意気だぞ、18%来いよ!」
 そうしてふるさとに着くころには、さらに7割が失われ、約六十の風になっていた。風になっても、なかなか大変なのである。
 自分の墓参りをしようと墓地へ向かい、約六十の風は愕然とした。彼の墓碑がカレーライスの形だったのである。たしかに生前は人後に落ちぬカレー好きであった。しかし墓石がカレーライスなんてあんまりだ。家族で墓掃除に来た見知らぬ女児が、カレーライス墓碑の前に立ち止まり指差しながらキャッキャキャッキャと笑うのである。
 私のお墓の前で、笑わないで下さい。そこに私はいます。傷つくのでどうか笑わないで下さい。