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OjohmbonX

創作のブログです。

ミカコのコンカツ!

 あたしだって若いOLだもん、モテたいよ。顔だってそんなに悪くない。鼻筋が通ってて、顔はほっそりしてる。人はそれを馬ヅラと呼ぶ。でもみんなが思ってるほど馬ヅラじゃないよ。だって、鏡を見つめて「これは人だ人だ人だ人だ人だ人だ人だ人だ……」って言い続けると、そんなに馬っぽく見えなくなるから。
 でも昔、中学校の授業で蘇我馬子が出てきたときは正直ヤバかった。あたしホントは「バーバラ」って呼ばれたかったから積極的に「みんなおはよう! バーバラが来たよ!」って言ってたのに蘇我氏って呼ばれた。でも全校集会で校長が「馬子と呼ばれて悲しんでいるお友達がいます。2年4組の斉藤美佳子さんです」と言ってくれたから助かった。ギリギリセーフだった。
 そんなあたしにもモテ期があった。あれは大学2年の夏。混雑した食堂で一人、メザシを食べていたあたしの隣に「ここ、いい?」と座ったTOKIO似のイケメン。あたしは「ハーイ、シエスタ!」と言った。当時、「シエスタ」が最新の挨拶だった。今でいう「おっはー」みたいなものだ。今ではシエスタはスペインの伝統的な昼寝タイムのことを言うみたいだけど、あのころはまだ挨拶だった。あたしの周りで誰も使っていなかったけれど、あたしは流行にビンカンな女だからすごい。イケメンはすごい速さでランチを食べ終えて一言も交わさず颯爽と去っていった。あれはかなりモテ期だった。あのイケメンは、あたしのラスト・サムライにはなれなかったみたい。(ラスト・サムライっていうのはカレシのことです。)
 昔は若さだけでモテ期が到来したけど、今は努力が必要だってやっとわかった。だから、ちょっと伸ばした髪の毛の先っぽを常時口の中に入れてるの。だって、オトコって、ちょっとヌケてる女の子が好きだもん。EXILEみたいなイケメンが
「バカだなぁ、髪の毛がお口にIN☆しているゾ」
「やだー恥ずかしいよーぅ」
ってあたしの髪をそっと撫でてくれると信じて、こうして電車に乗っている。早くあたしのラスト・サムライに出会いたいな。さっきから目の前の高校生たちが、あたしをちらちら見ながらひそひそ話してる。
 それにしても髪の毛って意外と塩味がきいてておいしい。いつの間にか口をもぐもぐさせてちょっと味わってた。高校生たちが
「ヤギみてぇ」
って言ってるのを聞いた。あたしは怒った。あたし、動物占いで羊なのに! もぐもぐぷんぷん。怒ったらお腹がすいたのでアイスを買って食べたら幸せだった。
 あと、なんかわかんないけど、たぶんあたしのおかげで日本のGDPがすごい。