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創作のブログです。

童話:みにくいアヒルの子

 みにくいアヒルの子は、醜かったので「ビューティーコロシアム」に出演しました。
 これまで彼がいかに凄惨なイジメを受けてきたかの再現VTRが流されました。それは怒りと涙を誘うものでした。他のひなたちとは異なり、ただ羽が灰色だというだけで、ビニール袋を飲まされたりするのでした。VTRを見て彼はびっくりしました。そんなにイジメられた覚えはないんだけどなあ。
「あれ、なんか灰色だね。ぼくたち黄色いのに」
「ほんとだ。ぼく灰色。みんな黄色」
「ま、いっか。それよりえさー! えさーっ!」
 ほんとはこんな感じ。
 VTRが明けて、和田アキ子は責めてきました。
「言っちゃあ何だけどさ、あんた、見た目じゃなくて心が汚いよ」
 さんざんアッコに怒られた後、彼はついに生まれ変わることができました! 具体的には羽を漂白した後、先端を紫や黄、黄緑に染め上げてカラフルになったのです。担当したカリスマ美容師によると、志茂田景樹をイメージしたとのこと。
「あれ、なんか色かわった?」
「ちょっとかわった」
「ま、いっか。それよりえさー! えさーっ!」
 半年後、体も大きく羽も真っ白に生え変わった白鳥の彼は、兄弟と育ての親のもとから飛び立ちました。アッコへの復讐を果たすために!


 大きな白鳥が目の前に降り立ち、アッコは一瞬ひるみましたが、さすがにそこは紅白の常連、すぐさま白鳥の両翼をむんずとつかみ、引きちぎりました。
「ドゥハハハハ! これはよい手羽先だ。『わだ家』に供するわ。そして、本体の肉もな」
 迫るアッコを見て白鳥は、やられる、と思いました。が、そのとき乾いた大きな音がしてアッコの目が一瞬泳いだかと思うと、身長2mの巨躯が前のめりに崩れました。その後ろに、ピストルを構えたカツマタの姿がありました。そして左の翼をヤナギバが、右の翼をアイカワがセロテープでくっつけてくれました。
 めでたし、めでたし。(アッコはこのあとスタッフがおいしくいただきました)