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OjohmbonX

創作のブログです。

毒を食らわば皿までスタッフがおいしくいただきました

 ファミレス。料理が届いたのに箸がまだ無い、と女の客に叱られたウエイトレスは、腹いせに200膳を越す割り箸を客のテーブルにぶちまけた。箸は料理の中にも惜しみなく降りかかった。
「お客様、箸でございます」
 女の客は歓喜して「やあだこんなにもらっちゃっていいのぉやあだ、いやぁん」と腕全体を使ってテーブルの箸をバッグの中に入れ始めた。ウエイトレスは一層逆上し、脇に抱えた割り箸をマシンガンの如くに客の額に投げつけ始めた。「いやぁん、いやぁん」と客はそれもバッグに回収した。客の夫はうつむいて知らぬ振りを決め込んでいる。子供は大声で泣き喚いている。
 店長はギラギラした目つきで俺に、
「ほらね、活気に溢れた職場で、とてもやりがいがあるんだ」
と言った。誰がこんなところでバイトするか、とは言わず静かに面接を後にしようとする俺の脚に店長がすがりついてきた。
「ね、ね、ちょっとだけ、ちょっとだけバイトしていってよ、ね、いいでしょ」
 中年男の太った店長が俺のハーフパンツから伸びた脛に舌を這わせた。
「あ、ああ、若い、青年の味がする、とても素敵だよ君ねえうちでバイトぎゃあぁぁぁ」
 割り箸が次々と店長の額にめり込んでいるのである。ひるんだ店長の頭に女の客がバッグを被せ、思い切り引いて俺の脚から店長を引き剥がした。
「今のうちよ、逃げなさい!」
「私たちに構わず逃げるのよ!」
 俺は店を飛び出し、町を駆け抜けながら、あのファミレス、捨てたもんじゃないなと思った。


 ランチの注文を受けて俺は厨房で、ダサくて無駄に大きなヨレヨレのトランクスだけを残して店長を裸に剥き、中年太りの体を荒縄で縛り上げ、客のつくテーブルの上に転げる。
「本日のランチ、『豚』です。ほら、啼け」
「ぶひぃ、ぶひいっ、お客様、本日のランチの店長こと豚ですぅ。ぶひぃ」
 客は逃げるが、店長は俺にバイト代を支払う。こうして私は学費を稼ぎ、親からの仕送りに頼らず大学生活を成り立たせてきました。私のこの経験は御社で働くにあたり、必ずや役に立つものと思います。
 そして俺は、超買い手市場の就職氷河期の中、一流企業の内々定を勝ち取った。入社当日、俺の上司は俺をギラギラした目で見つめてきた……