おばあちゃんと5人の孫ども
「おばあちゃーん」
ビュン、ビュンッ!
「おや、孫ども。どうしたんだい? おばあちゃんはいつでも孫どもの味方だよ」
ボゴオォォ
おばあちゃんはお部屋で野球の素振りをしているところだった。運悪く孫の一人の頭蓋骨がこなごなになった。不用意におばあちゃんに近づいた孫が悪い。自業自得だ。残り4人。
「おばあちゃーん。ぼくたちおばあちゃんの絵を描いたよ」
「まあ、とってもよく似てる。これも似てる。これもいいわ。でも、これは似てないね。あたしの眼は二重だよ」
「ぎゃあ」
首をゴキッとされた。おばあちゃんを悲しませた孫が悪い。残り3人。
「おばあちゃーん」
「おやおや、あたしのここを嗅ぎたいのかい?」
「ちがうよちがうよ」
「またまたあ。さあ嗅ぎな」
「ぎゃあ。臭ぇ」
死んだ。孫が悪い。残り2人。
「おばあちゃーん」
「死ねぇ」
死んだ。孫が悪い。残り1人。
最後の一人はこう考えた。こっちも最初から殺す気でいかなきゃ殺される。包丁を手にふすまを一気に開けた。
「おばあちゃーん」
部屋には誰もいなかった。おばあちゃんは上空にいたのだ。爆撃機から太っちょの爆弾が落とされた。核爆弾だった。
残り0。
核の力はおそろしい。人類はこの悲劇を忘れてはいけない。すべて孫が悪い。
だから、孫を、持たず、作らず、持ち込ませず。