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OjohmbonX

創作のブログです。

美、そして愛

 近所にラーメン屋が開店した。今朝のチラシにはラーメンを手に笑顔を見せる店のオヤジの写真があった。そしてチラシの下隅に小さく「オヤジはイメージです。実際のオヤジとは異なる場合があります。」と書かれていた。
 店に行くと、実際のオヤジは美女だった。(具体的には北朝鮮の美女軍団だった。)
「どうしてあなたたちがここに?」
「修行をしているのです。将軍様に最高のラーメンを食べていただくために……鼻で」
「え、なんで鼻で食べさせるの? 苦しいよ」
「ふふ」
 謎の微笑を浮かべて美女軍団はラーメンを完成させた。
 かつおダシの醤油のスープに、太く白い麺、具はワカメとネギとカマボコ……
「これ、うどんでしょ?」
「ラーメン」
「うどんだよ、ぜったい」
「ラーメン」
 ふと気づくと私は美女軍団に囲まれていた。そして腕と肩を捕まれ席に押し付けられ、乱暴に髪を後ろへ引っ張られて顔を上向けられた。その視界の端で、写真のオヤジが白目を剥き、口と鼻からうどんを垂らして店の奥の壁にもたれて座り込んだまま死んでいるのに気づいた。殺される。そして無理やり口にうどんを流し込まれた。なんという美味! 麺の表面が、よくわかんないけど、すごくネチャネチャしてておいしい。ただ、味はぜったいにうどんだけどね。味はともかく流し込むペースが早い。私の食べる早さを上回っている。しかもネチャネチャしていて口や喉にからまる。その上、ついに鼻からも詰め込まれた。息ができない! ああ、彼女たちのトレーニングはそうか、クーデターのためだったのか。ジョンイル、おお、ジョンイル、美女軍団に殺されてしまう……


 彼が死の間際に気づいた真実は、まったくの誤解だった。美女軍団は本当にうどんとラーメンを勘違いしていただけだった。そして鼻で食べるのが国際的な感じだと思い込んでいたのだ。お客様に喜んでいただこうと食べさせてあげていただけなのだ。(結果的に客は死んだけどね。)
 そして美女軍団は日本を去った。大量のチキンラーメンをこっそり北へ持ち帰って。