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OjohmbonX

創作のブログです。

ゲド戦記

 フジテレビに入社したこの女子アナ、外道であったゆえゲドパンと呼ばれている。ゲドパンは入社早々カトパンを腹パンして外道ぶりをまざまざと見せ付けた。
「生意気なのよね。」
 とんでもないことである。カトパンはただ、給湯器に鼻くそを入れていたゲドパンを注意しただけなのだ。自分の鼻くそであればまだしも、どこの馬の骨ともわからぬ鼻くそを大量に投入していたゲドパンを、ただ注意しただけなのだ。しかしゲドパンはカトパンの目すら見ずに振りむきざま、腹にグーパンを決めたのであった。
(最近の若い子は厄介ねって、思うようになるなんて私もベテランなのかしら)
 カトパンは激痛に耐えながらホンマでっか!?TVの収録に向かった。今の一撃で妊娠できない身体になっていた。


 ゲドパンは生田アナを犯して孕み、1ヵ月後には妊娠検査薬を見せて生田の正妻、妊娠中の秋元アナを気絶させ、返す刀でカトパンには
「あたし妊娠したんですよ。カトパン先輩は子供の生めない体なのに……」と言い放った。
 カトパン先輩は白目になりながら
「おめでとう。」
とかろうじて口にした。


 ゲドパンの外道ぶりはアナウンス部に留まらない。
 廊下を歩く松下由樹を目ざとく見つけて、進路を妨害した。困惑して不愉快そうに眉をしかめる松下由樹にゲドパンは
「朝はパン! パン、パパン!」
と心底うれしそうにリズムよく腹パンを決めていった。松下由樹は苦しげに呻きながら、ぐにゃぐにゃと崩れて座り込んだ。
フジパン 本仕込み〜♪」
 うれしさが極まって恍惚の表情を浮かべて歌いながら、ゲドパンは松下由樹の顔面をグーパンして鼻を潰したのであった。彼女は以前にも観月ありさに「せんぱぁ〜い」と言われながら全く同様の仕打ちを受けて鼻を一回り大きくしながら回復したばかりであるというのに、全く不憫な女である。


 夏が来た。27時間テレビのフィナーレ、新人アナによる提供読みの季節である。ゲドパンは3人目、靴に画鋲を仕込まれた痛みに耐えながら前の2人がどうにか読み上げ、ゲドパンの番である。新人らしからぬ安定した声で読み進めてゆくゲドパンの脇に黒い影が迫った。アヤパンであった。ゲドパンは燃えるような痛みを感じた。竹やりが脇腹に深々と刺さっていた。
「あなたに大塚さんは任せられませんから。」
 アヤパンはそうした言葉だけを残してすでに姿は無かった。大塚さんの復帰に合わせてめざまし新キャスターにゲドパンが抜擢されるという内部資料を入手したアヤパンは、大塚さんの身をまず案じた。恐らくゲドパンに殺されるだろう。アヤパンは、iPS細胞を使ってでもサイボーグになってでも大塚さんとめざましテレビは未来永劫存在しなければならないという信仰を持っていた。元々フリーになってもめざましへの恩義に篤い女であったことに加え、姑からの影響で信心を深めていったのである。
 アヤパンに竹やりで刺されたゲドパンはしかし、提供社名を読み上げ続けていた。黒い血が流れ続けている。意識はもうほとんど喪失している。
「……、ユニ・チャーム、ロッテの提供でお送りしました。」
 そのまま棒が倒れるように倒れたゲドパンを、床に落ちる直前に抱きとめたのはカトパン不妊治療中)であった。見ればゲドパンは口をかすかに動かして何事かささやいている。カトパンは耳を近づけた。
「鈴木……鈴木益恵……あたしの本名……」
 カトパンが涙を流しながら答える。
「あなた、ゲドパンなんかじゃない。マスパン、ほんとはマスパンだったのね。あぁ、かわいそうなマスパン。」
 しかし鈴木アナは突然下卑た笑いを口元に浮かべて
「いいえ。ゲドパンよ。」
と言明して絶命した。
 まさに外道。入社して4ヶ月足らずの殉職であった。