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創作のブログです。

かれぴのTOEICが8兆点

 あなごのかば焼きおいしーいと思って食べてたら黒いゴムの板だったんだよね。味もぜんぜんかば焼きじゃないじゃんって言われたけどあたし、かば焼きって食べたことなかったから。
 それであたし怒って、妹を棒でたたいてた。ほんとうに悪いのはお母さんやお父さんだけど、もう死んじゃってハワイにいると思うから。お葬式をやるお金がなくて、妹は正当な法律に従って自動車運転免許証を取得していたから、レンタカーでお母さんとお父さんを海に運んで流した。だから、たぶんお母さんやお父さんはハワイについたと思う。
 あたしがかば焼きを知らないってことは教育の問題だから、お母さんやお父さんが悪いけど、もう二人とも死んだから妹を棒でたたいてた。それが責任だと思う。そしたら妹は
「給食で出たでしょ。」
ってゆった。あったかいかば焼きがいっこずつビニールに入って配られたでしょって。あれがかば焼き!? でもあたし、あれはビニールといっしょに食べてたから、ほんとの味のことはわからない。
「なんであんたが免許取るお金あったのに、お母さんやお父さんのお葬式をやるお金がなかったんだよ!!」
 あたしは別件で妹を棒でたたいた。妹は泣いてた。妹はみんなのうちからいなくなって、かれぴがうちに住むようになった。


 かれぴはもともと駅の近くの公園に住んでいたという。ある朝、それは10時ぐらいって言ってた、黒くて大きな先生につれられた200人の小学生たちが公園をうめつくして、かれぴに
「家に住んでください。」
ってゆったという。
「公園に住んでいますよ。」
ってかれぴがゆったら、200人の小学生たちがいっせいにウオーッて叫んで耳がこわれそうになって、逃げてきて市役所の人にうちを紹介されたから、うちに住むようになった。運命の出会いってこういうことかなと思った。


 あたしはあたしの心がどんどんおだやかになっていくのを感じてる。かれぴに抱かれて泥のように眠る。眠っているあいだ、こたつの赤いビームを顔に当てられつづけて、顔がめちゃくちゃになった。かれぴは
「殺そうとおもって。」
とゆった。あたしはこの試練に生き残ったから、神さまに選ばれたんだとおもった。パワースポット。
 かれぴは58歳で、あたしは21歳だった。かれぴは
「ぼくは後期高齢者だから、養ってもわらないといけない。」
とゆった。だからあたしは炊飯器にご飯を炊くように命じている。おかずはあたしの、はがしたかさぶた。


 あたしは眠るまえ、かれぴのお話を聞くことがよろこびだ。かれぴはあたしの首を絞めながら
「ぼくはドッグトレーナーだったんだ。」
とゆった。おなかがすいたら犬を食べてたとゆった。食べるのは小さい犬で、大きい犬は4匹横にならんで、その背中の上にのって、かれぴはこの川崎市までやってきたとゆう。
 かれぴは犬とコミュニケーションするために英語を勉強したから、TOEICがすごいといった。Test of English for International Communicationだ。
「ぼくはTOEICが8兆点なんだ。」
 人類で最強とおもった。だからあたしはかれぴにブログを書くのことおすすめとてもした。かれぴの記事は1億人が読んで、もうあたしの手の届かない存在になってしまった。でもまだうちにいる。あたしは炊飯器にご飯を炊くように命じている。


 あたしはもう一度お母さんとお父さんに会いたいとおもった。お母さんを棒でたたいてハワイに流したのが5年前、お父さんを棒でたたいてハワイに流したのが10年前だった。だからハワイに行きたいとおもった。
 かれぴはインターネットの犬たちから金をまきあげていて、たくさんお金を持っているとゆった。でもハワイじゃなくて鎌倉にあるHatch-Man-Gooに行くとゆって、行った。パワースポット。それからGiant Buddhaも見た。Giant Buddhaは頭のぽちぽちひとつずつにLEDが入っていて、すごく光ってた。プロジェクションマッピングでグンバツにおしゃんてぃなおべべを着てた。かれぴは涙を流していた。あたしは妹に会いたいとおもった。
 夏だから首のおにくの間に汗がすごくておしろいがどんどん剥がれていった。Giant Buddhaは、おでこにあるボタンからときどきたれを発射してた。かば焼きのたれだった。
 あたしは全身にかば焼きのたれをあびて、横須賀線にのって川崎にかえってきた。あたしは英語ができるようになってきた。ハロー。ライスマシーンがほっかほかのライスをアウトプットして、あたしのかさぶたがかば焼きのたれでベリーヤミー。


 かれぴはTOEICで8兆点とる方法でユーチューバーになってサンシャインを浴びてた。ジャパンの法律をマキシマムに駆使してあたしのうちが、かれぴのうちになった(権利が)ということで、あたしはうちを追い出された(権利が)。かれぴがうちをもつ権利があって、あたしはうちを追い出される権利があるということ。
 ハワイに行きたいとおもって、ダイシ・カワサキを通り抜けて海にきた。妹に会いたいと思った。でも棒でたくさん叩いたからいなくなった。かれぴに会いたいとおもった。でも権利がちがうからもう、あたしのかさぶたのかば焼きを食べてくれない。お母さんもお父さんも死んだ。お母さんとお父さんがいるハワイに行きたいとおもった。
 海に行こうとおもった。そうしたらハワイが見えるとおもった。マリエン・カワサキの展望室にのぼった。工場ばっかりだった。こんなの海じゃないとおもった。