OjohmbonX

創作のブログです。

2009-01-01から1年間の記事一覧

HAPPY BIRTHDAY TO HIS MAJESTY

とても張りのある太もも。短いタイトスカートから伸びる二本。太ももの張りと張りを合わせて……はりあわせ。はりあわせが徐々に開いてゆく。そしてその奥の黒い密林、三角洲が望まれる。おろそかな膝を持つこの中年女は電車で眠りこけている。 向かいに座る老…

引導

ズン ズンズン ズンドコ(き・よ・し!) 風に吹かれて 鼻が散る 氷川が歌ったそのとき、スタジオに一陣の風が吹き渡った。そして風に吹かれてサブちゃんの鼻が、崩壊した。 他の共演者たちとスタジオの隅でにこにこ手拍子を打っていたサブちゃん本人より先…

ブルジョワジーのひそかな愉しみ

通勤客で混雑した朝の電車で都はるみは「北の宿から」を絶唱していた。マイクから伸びた線は途中で二股に分かれ、老貴夫人の両耳へと続いていた。貴夫人は穏やかに閉じていたまぶたをゆっくりと開き、自分の前に立って歌うはるみを見上げてほほえんだ。 「は…

ぼくはキューピッド

金曜日の終電だから隣の美女がゲボ吐きそうな顔してる。みんなは不安そうな顔でちらちらそれを見てる。早くも避難する人もいる。ぼくはビニール袋を取り出して見知らぬ美女の口にあてがった。 ゲボォォォ。 臭いが拡散しないよう手早く袋の口を縛る。周りの…

おばあちゃんと5人の孫ども

「おばあちゃーん」 ビュン、ビュンッ! 「おや、孫ども。どうしたんだい? おばあちゃんはいつでも孫どもの味方だよ」 ボゴオォォ おばあちゃんはお部屋で野球の素振りをしているところだった。運悪く孫の一人の頭蓋骨がこなごなになった。不用意におばあち…

成人男性2割が抱える悩み

歯医者さんは勃起していた。 最初は美人の患者さんだからかなと思った。でも老若男女で勃起してた。 歯を削ってるのに興奮してるのかなと思った。でも勤務中ずっと勃起してた。 自分の白衣にフェティシズムかなと思った。でも普段着でも勃起してた。 コート…

親子鷹

「お父さん、いっぱい会社で残業して作ったんだ。気に入ってくれたかな?」 いつも寝起きが悪いタケオくんだけど一気に目が覚めた。遮光カーテンの透き間から漏れ入る朝日でぼんやりした部屋、お父さんが静かに枕元に立っていた。厚紙でできた直径2メートル…

二人並んですまし顔

汚ひなさまは容姿は悪く学もなく、他者へ与えるということを一向に知らぬ女であった。 「馬鹿じゃないの、金も無いゲテメン(注:イケメンの対義語)のあんたなんか……」 身の丈によくあった――気性まで勘案すればもったいない――汚だいりさまからの交際の申し…

隣は何をする人ぞ

ちんちん小さいのが恥ずかしいのかな、と思った。 3つ並んだ小便器。真ん中にぼくが入ると、両隣でおしっこしてた人が一歩前に詰めた。二人とも今年の新入社員だった。だからぼくは先輩として怒ってやった。 「お前らが小さいのはちんちんやない、心や、ちん…

スナイパー四者四様

かつてスナイパーだった祖母は認知症を患って以来かえって古い記憶が蘇るものか、二階の窓から近隣住民をスナイプし始めた。 「今日は三枝さんの奥さんだったわ。重くてねえ、あの人太ってるから、昨日の美羽ちゃんみたいに子供だと楽なんだけど、それでも土…

悪魔の大将

デーモン山下「ぼ、ぼ、ぼくは、お、おにぎりを蝋人形にしてやろうかーッ!」

サルゲッチュ

ミツバチはスズメバチより小さく、弱い。しかしそれは一匹を比べた話だ。巣を襲われたミツバチたちは集団でスズメバチに覆い被さる。そして全員で体を激しく震わせる。熱への耐性――生命を維持し得る温度がスズメバチより高いことを利用し、彼らは熱で殺すの…

ゴンスケという名の女

両親の純粋な悪意によってゴンスケと名付けられた女がいた。三姉妹は上から加奈、紗代、ゴンスケという。 長じて女はある夜、バーで泣き濡れていた。酒に呑まれ自暴自棄になった女は「もうどうにでもしてー」と叫んだ。たまたま願いを聞き及んだ見知らぬ科学…

映画

崖の上のマイケル・ジャクソン3D

ロシアの女はおそろしや

妻の上半身と下半身がとつぜん分かれて、中からワンサイズ小さい妻が出てきた。さらに中からも小さい妻が出てきた。妻はマトリョーシカみたいな構造だった。腰を抜かす私を見下ろして最小の妻は嗤った。 「私はロシア人とのハーフなんだから、当たり前じゃな…

それは隣人愛

母さんの四十九日もまだ明けていないから大きなお祝いはできないけれどせめて、と息子が私の米寿の祝いにダッチワイフを贈って寄越した。恥ずかしながら齢八十八までダッチワイフなるものを私は知らずにいた。 息子はずっと以前にもそして妻が死んだ際にも同…

日本の未来は彼らの双肩に

彼は童貞であるのに猥談に巻き込まれた。不運にも彼は――それは彼自身の所為には違いないが――自分を貶めて笑いを誘う術を持たない男子大学生だった。女との情事について話しを振られた彼はとっさにこう返した。 「女なんて、マインスイーパみたいなもんだよ」…

三つ子の魂、百までゴミ

母は私の目を、視線が突き抜けるくらいに真っ直ぐ見つめて、 「子供は宝物だっていうね。でもあんたは、あたしがお腹を痛めて産んだゴミだよ」 と言った。私が5歳のときだった。そう言わしめた状況は茫漠としているが、母の言葉、その声と視線は呪いのように…

イチローだけじゃない、世界で活躍する日本人

ゴキブリだった。すぐ目の前にいたが、じっと動かないから気づかないでいた。認識し、驚いて「ワァオ」と声を上げる直前に、乾いた大きな音がしてゴキブリは弾け飛び、粉々になった。心臓が跳ね上がって反射的に後ろを振り返ると、安楽椅子に身を沈ませたま…

人間ポンプ

彼は現代に生きる貴族であった。 性同一性障害という概念が存在する。これは肉体的に構成される性と、精神が確信する性とが一致しない状態である。彼の場合、時代同一性障害と言い得る状態であった。幼年より漠然と時代に違和感を覚え、高貴な発言が散見され…

100人中でだれが知っている?

合コンに来たけど女の人がこわいので隣のイケメンに話しかけたらイケメンは心もイケメンで俺みたいな草食キモ男子にもやさしくて地元の話になるとびっくりするほど俺の地元に詳しいし話は面白くて雑学もいっぱい知っててよく見たらタモリだった。俺はその夜…

老々介護と裁判員裁判

ばあさんのうんちまみれのおむつを替えていたら、ばあさんがふざけて「ヒャッハー! 汚物は消毒だ〜っ!!」と言ったので、わしもふざけて秘孔を突いたら5秒後にばあさんが爆発して死んだ。まさか、あんなところに秘孔があるなんて……。 裁判で、わしが献身的…

この本屋さんがすごい!2010年版

文庫を買った。 「カバーをお掛けしますか」 「ええ、お願いします」 カウンターの後ろから5人の書店員が現れ、私の脇に立った。 「しばらくそのままでお待ち下さい」 書店員たちは私に強化プラスチックのスーツを取り付け始めた。 「ちょっと、何なんですか…

きのこがれ!

日ごとにキノコが生えてくる。どんどん、部屋の中に生えてくる。すごくシイタケっぽいキノコだった。とうとう妻の頭にも生えた。妻は白目を剥いて「うきょきょ」と笑いながら、ぼくの頭にキノコを刺そうとした。妻をぼこぼこにして弱らせてから、頭のキノコ…

名付け親はビートたけし

玉ちゃんはね 玉袋筋太郎ってゆうんだ ほんとはね だけど ゴールデンだから みんなが玉ちゃんって よぶんだよ やらしいね 玉ちゃん

遠山の金さん

ヘイヘイヘイ! この桜吹雪がショウヘイヘーイッ!

おしらせ

mixi日記を下記「パパパ」と統合しました。 http://d.hatena.ne.jp/Yashio/ 日常のあれこれに関してはこっちではもう書きません。(今までもほとんど書いてないけれど。)

アルプスの少女、ハイジ。

信長、秀吉、家康に倣って「鳴かぬホトトギス」の句で性格を表すならハイジはさしずめ、 立たぬなら 殺してしまえ クララ というタイプのアルプスの少女であった。クララが車椅子から立ち上がり歩き得たのは、本人の決意でも、まして奇跡でもない。恐怖であ…

金の髪と銀の髪と、女神

排水溝の口に溜まる毛を見て絶望的な気になる。日々、容赦なく禿げ進む。清廉に生きようが摂生に努めようが、情け無く抜けさらばえる。まだ30だというのに、あまりの仕打ち。今日も洗髪を終え、ひとしきり排水溝を見つめて嘆息した後、顔を上げて思わず叫び…

毒を食らわば皿までスタッフがおいしくいただきました

ファミレス。料理が届いたのに箸がまだ無い、と女の客に叱られたウエイトレスは、腹いせに200膳を越す割り箸を客のテーブルにぶちまけた。箸は料理の中にも惜しみなく降りかかった。 「お客様、箸でございます」 女の客は歓喜して「やあだこんなにもらっちゃ…