OjohmbonX

創作のブログです。

2010-01-01から1年間の記事一覧

普及率100%

息子の雪介がめそめそ泣くのを吾郎は 「うちの番だ」 ときつく言い捨てて、背負ったブラウン管テレビの紐をもう一度きつく縛り直し家を出た。奥の山へ捨てるのだ。 昨晩は源治の家だった。次はうちの番なのだ。そして後はない。川に貫かれる谷あいの村は下流…

さようなら母なるヤクザ

生まれて初めて見たものがヤクザだったのでヒナはヤクザを親鳥と認識した。 「こっち見てんじゃねえよ馬鹿野郎」 「ピヨピヨ」 春になりヤクザは30羽の鳥たちを率いて北へと飛び立っていった。

πr2

「はんけい かける はんけい かける さんてん いちよん。はんけい かける はんけい……」 息子がぼんやり外を見ながらずっと口ずさんでいる。テストが近いのかもしれない。妻は買い物に出かけている。日曜の夕方、テレビも電気もついていないリビングを夕日が…

クソの壁

もちろん私は更年期でイライラしてるから、電車の中では人のすねをずーっと蹴りつづけてる。座れなかったときはもっとイライラするから、座ってる人たちの顔に屁をかけてまわってる。 背が高い割にほっそりして、紫色がかった銀縁のメガネをかけたスーツ姿の…

破戒坊主

合コンで住職にお持ち帰りされた。持ち前のサービス精神を発揮して「いくっ、いくっ、成仏しちゃう〜」と(演技で)叫んでたら、急に真顔になって夜通し説法された。なんか釈然としない。

大スキ!

文具屋の店先で、いろんな苗字が彫ってあるたくさんのはんこが納められた回転式のケースの前にしゃがんで、熱心に探してる若い女の人がいた。とてもかわいらしい女の人で、私は見覚えはあったけれど名前が出てこないのだった。 その人に向かってさっそうと、…

小説についてのあれこれ――感動? 短編? 宣言!

序 ここ最近「OjohmbonX」で被ブックマーク数が比較的多かった(5以上だった)2エントリ「赤い糸で、つながる小指」 (id:OjohmbonX:20100907)、「どこの惣菜屋でも起こってる、ありふれた出来事」 (id:OjohmbonX:20101009)についてその物語を要約してみ…

どこの惣菜屋でも起こってる、ありふれた出来事

四十五のあたしが草食系男子大学生の股間をまさぐっているのよ。パート先の惣菜屋で。うらやましいでしょ。でもこれは神様に選ばれたあたしにしか許されてないの。神様が、あたしに、股間をまさぐってもいいよ、仕事中に、って許してくれたのよ。 新しいバイ…

鋏は髪を切らなかった

自分の後ろに立った者を容赦なく殴りつけるというゴルゴ13の習性は周知の事実であるから、床屋に来店した彼が理容師をすみやかに殴り殺す事態は驚くに値しない。何せ理容師は鋭利な鋏や、あまつさえ剃刀さえ手にしている存在なのだ。そして彼はすまないと顔…

6000度の愛

昨夜、のりしろ(id:norishiro7)さんと食事しました。 二人でせんだみつおゲームをしました。もともと俺はせんだみつおゲームが好きで、よく一人でやってるんですが、この楽しさを知ってもらおうと思って一緒にやったらやっぱりすごく盛り上がりました。も…

赤い糸で、つながる小指

ガキのころから悪いことならたいがいやってきた。同級生のアゴをちぎったり、気に入らない教師の家族を皆殺しにしたり、市役所を爆破したりしてきた。そんな俺は中学を出て当たり前のようにヤクザになった。かえってヤクザになってからの方がおとなしくなっ…

シュレディンガーのお年寄り

量子論によれば、位置を確定すると運動量を決定できなくなる。 それで100歳以上のお年寄りも、所在確認しようとすればするほど生きてるのか死んでるのかよくわからなくなっているのかもしれない。 100歳以上のお年寄りは日本の空間内に確率的に広がって存在…

ババアが若い女と若い男をしつける話

うちの嫁は嫁いできた初日に、私の夫の仏壇へ線香の代わりに火のついたポッキーをさしました。私は一瞬、これまで感じたことの無い燃えるような熱さを頭に感じてこれが本当の怒りなのだと知りました。けれども何とかそれを抑えて、この若い嫁は常識を知らな…

娘枕

「私は木の分野でムツゴロウさんやさかなクンになろう」 そう理性的に考えた時点でミャンコパワーの負け戦は始まっていた。 いや、負け戦はとっくに11年前からもう始まっていたのだ。栃木から初めて友達と原宿に繰り出した高校一年の夏には、もう。栃木の自…

あとがき

ついに私も本格時代小説を書くことができました。 このはてなダイアリーを始めて6年弱。当初より一貫して時代小説のみを書き続けてきましたが、ようやく真の時代小説にたどり着いたように思います。それもこれも、いつもお読みいただいている皆様のおかげな…

右筆 朝倉久次郎

書き物があると呼び出された御殿の一室で右筆・朝倉久次郎は藩主の正室・達子と相対して座していた。 「朝倉殿は如何に心得られるか」 「すごく……巨乳です」 達子は襟を握ってそのまま召し物を引き千切り、諸肌を露にした。おもむろに立ち上がり巨乳を下から…

JAXAの最高傑作、あたし

失恋するたびあたしは、浴びるようにファブリーズを飲んで、忘れて、でも忘れ切れなくて、一つずつ強くなってきた。 「何かお探しですか?」 ブティックで女の店員が声を掛けてくる。 「男に決まってるじゃないポンコツ」 いい女はいつでもアンテナ三本立て…

あいまいな日本の私

「本人」のタスキをかけて街頭演説する立候補者にこっそり近寄り、上に「日」を書き足して「日本人」にしてやった。

家族って、いい。すごく。

あたしの実家で、あたしの家族の目の前で、あたしのダーリンは、あたしの鼻の穴に、いきなりネコジャラシを突っ込んで、奥の奥まで一気に突っ込んで、ちょっぴりこちょこちょした後、一気に引き抜いたら、ネコジャラシの先っぽに、つまりジャラシの部分に、…

The Rain of Love ―円い土俵―

美濃乃里は今年で35になるベテラン力士であったが、その体つきは齢を重ねるごとにエロチシズムをますます掻き立てるものになってゆくのだった。 肌の張りは失われ、肉は崩れる。美濃乃里は稽古を怠らぬが齢には抗えずに筋と肉のバランスが崩れる。しかしその…

540°の鼻歌を歌おう

鼻歌を歌っていて曲がり角でばったり他人に行き会った時、歌うのを 0 : やめない : 何も気にしてないから 0.5 : やめる : 恥ずかしいから 1 : やめない : 恥ずかしいと思っていると思われるのが恥ずかしいから 1.5 : やめる : 「こいつ恥ずかしがっ…

美、そして愛

近所にラーメン屋が開店した。今朝のチラシにはラーメンを手に笑顔を見せる店のオヤジの写真があった。そしてチラシの下隅に小さく「オヤジはイメージです。実際のオヤジとは異なる場合があります。」と書かれていた。 店に行くと、実際のオヤジは美女だった…

真・放浪記

森光子に最新のテクノロジーを盛り込み、本人の意思とは無関係に舞台でバク転させる計画が進行しているという。

200本安打

「もうやめて、もうやめて」 と泣いている坂東の口に、微笑を浮かべながらゆでたまごを次々つめこんでゆくイチローであった。

われらとわれらの子孫のために

日本の技術力をあなどってはいけない。ついにマツコ・デラックスを1立法センチメートル以下に圧縮することに成功した。技術的に可能になった、というレベルにとどまらない。商業ベースで可能とした。大量、安価に市場に投入することが可能となったのだ。しか…

ストップ・ザ・少子化

「ぼくたちもそろそろ子供ほしいね」 「ちょうど私もそう思ってたんだ。だからお昼に竹内さん、ほら、このマンションの3階に住んでる竹内さんのところに行ってきたのよ。お宅の息子さんをうちとシェアしませんか、って。そしたら『しませんよ』って。 『じゃ…

しょうがない

おばあちゃんは、知恵袋が破裂して、死んだ。

ちょっといい話

私がケーキ屋で品定めしていると就学前らしい女児が入店し、ショートケーキを指さした。 「お母さんのおたんじょうびなの」 私も店員の若い女も微笑した。 「320円です」 女児はアニメのキャラクター(具体的にはサウスパークのエリック・カートマン)が描か…

高校生、この青春だらけの生物どもを!

「被害者はバールのようなもので殴られ、」 とニュース番組でアナウンサーが言うのを聞いてユカリは激怒した。私は頭突きで死なせたのに、バールだなんてひどい。そういうわけで、ユカリはさっそくおでこに「バールではない」と油性ペンで書き込んだ。 昨日…

ぼくはつよし

2011年7月で現在お使いのはてなは完全に終了します。 はてなアンテナの地デジ対応がお済でない方はお早めにお願いします。 もっとも、はてなアンテナの地デジ対応とは無関係にはてなは完全終了しますが……