OjohmbonX

創作のブログです。

 今夜放送されたテレビ番組「島田検定!国民的潜在能力テスト」で出題されたクイズに,1問*1を除いて全て正解しました.
 なぜこんな下らない自慢をしているのかというと,寂しいからです.
 僕は父と二人で暮らしているのですが,その父は仕事で10時半まで家に帰ってきません.クイズ番組を見るのは一人.問題が出されてすぐに「ははああんこれはこういうことですね」と知的に正答を呟いても,少し自信がなくて「きっとこういうことなんじゃないかしら,あ,あ,やっぱり正解でしたね」と呟いても,一人.テレビの中の人たちがみんな不正解にもかかわらず僕が正解.「ほうらほうーら,やっぱりそうでしょう,そうでしょうそうでしょう,みなさんは正解しませなんだが僕は正解したのです」はしゃぎ回る僕,一人.どう仕様もなく自慢がしたくなって,誰かに電話してこましたろかしゃんと思いますが,
「もしもし.今やってるクイズ番組で,みんなわかんなかった問題,僕,わかったんだよ」
「私はあなたの言うことをすみやかに理解しました.つまり,出演者が全員不正解した問題にあなたが正解したことを,あなたは喜び,また,誇らしく思っているのですね.しかしながら私は当該クイズ番組を視聴しておらず,従ってあなたの喜びを完全には理解できませんし,また,そのことによってあなたを敬うという気持ちが生じることもありません.現時点で他に,私に伝えたい何かは存在しますか」
「え,や,別にそれだけなんだけど」
「現在私は大変忙しい状態にあります.なぜ私が今『忙しい状態』にあるのかをあなたに説明する時間すら惜しまれるほどに私は『忙しい状態』中に存在します.そして私は私の『忙しい状態』を早急に解消したいと望んでいます.端的に言いますれば私は即座にこの通話を打ち切り,私の『忙しい状態』を解消するために私がし得ること・するべきことをしたいのです」
「あ,ごめん……」
 僕は余計に,くっきりと,自分が一人であることを自覚して寂しい.
 
 父の仕事が休みで,二人で食事をしながら「クイズ$ミリオネア」を見ることもありますが,僕が問題に答えても,父は「うん」とか「ああ」とか意味のない語を発するばかりで,時折意味のあることを言ってもそれはどこか的外れであったりして,昔はこんな風ではなかったのにこれが年をとるということなのか,と寂しい.
 
 僕が彼氏あるいは彼女を欲するのは,こんなとき.
 自分は正解をわかっていながら黙って,はしゃぐ僕を微笑ましく眺める人募集.

*1:「キャパの写真」に関する問題