それでも彼は，今日もくちびるを

　タネなんて無くて実は超能力なんですと言われたほうが納得できるタイプのマジシャン，セロにとって，そこらへんを歩いているおばさんのくちびるを，はがしたり，つけたり，はがしたり，別の人につけたり，なんてことはお茶の子さいさいなんだけれども，おばさんのくちびるを，額につけてみたりしているときに，ふと，何してんだろ，俺．とぼんやり思うことは，あるんだろう．