乳バンド奇譚
ブラウスとスカートを脱いで下着姿になったわたしを、ベッドの上であの人は抱き寄せてやさしくキスした。わたしの首筋を、肩を、わき腹を、背をなでていたあの人の繊細な手が、わたしの背中の一点で止まった。ホックだ。ああ、わたしの乳バンドを外そうとしている!(乳バンドはブラジャーのトレンディーな呼び方です。)
どれくらい経ったかしら。5分? 10分? あるいは30分? あの人はわたしのホックを外せないでいる。繊細だった手つきが徐々に荒々しくなり、焦りを見せ始めている。早くして! わたしのお乳は外に出たがっているのよ!
「ううぅぅ、うぅぅ」
わたしの唇をふさいだまま、あの人は苦しげにうめき始めた。焦りを通り越してパニックに陥っていた。ホックのまわりをしっちゃかめっちゃかに握り、引っ張る。もういい、もういいわ、あなたはよく頑張った、あとはわたしにまかせて、わたしが自主的に乳バンドを外すから、いいのよ、大丈夫……
あの人はとつぜんキスをやめて顔を引き離した。
「ぬああぁっ!」
低く咆哮を響かせて、あの人はわたしの乳バンドを真っ二つに引きちぎった。ワイルド!
落ち着きを取り戻したあの人はわたしの腰をつかんで持ち上げて、そっとベッドから下ろして脇に立たせた。そして、わたしのパンテーィの両側にそれぞれ左右の手指をさりげなくかけた。ああ、とうとうわたしのミステリアス・スポットがあらわになるときがきたのね……
あの人は思い切りわたしのパンテーィを引き上げた。
「ヒィーィ!」
パンテーィはわたしの前と後ろの割れ目に食い込んだ。
「食い込んだわーっ!」
わたしは確信した。わたしが真に欲していたのは、この男なんだと。
それが、あなたのお父さんよ。