OjohmbonX

創作のブログです。

寓話

 泉から現れた金髪の女神は言った。
「あなたが落としたのは銀のおすぎですか、それとも金のピーコですか」
 若いきこりは困惑した。
「いいえ、私の落としたのは、錆びた鉄の斧です」
「あなたは大変正直なので銀のおすぎを5人差し上げましょう。そしてあなたは銀のおすぎを5人集めたのでもれなく『おかまのカンヅメ』と交換してあげます。クエックエックエー、チョコボーォオォルー……」
 女神は機嫌よく泉の中へ消えてゆき、残された若いきこりは絶望した。彼の目の前には「おかまのカンヅメ」から這い出てくるIKKOとKABA.ちゃん
「なんでアタシたちが女神じゃないのよー、女神、黄色すぎ、どぉーんだけー」
「そぅよぉ、黄色ければいいってわけじゃないわよねー」
「やぁだ、でも、アンタよりアタシの方が女神にふさわしいわよぉ」
「何言ってるのー、アタシの方が女神っぽーい」
 言い争いが取っ組み合いとなり、もつれ合ったままIKKOとKABA.ちゃんは泉に落ちた。落ちて、いつまでも浮かんでこなかった。
 森は静かになった。若いきこりは悪夢と思い做した。
「何もなかったんだ。ただ、俺が、斧を落とした……それだけだ。何もなかった……」


 何もなかったわけではない。ただ、IKKOとKABA.ちゃんの思い上がりが女神・美輪明宏の逆鱗に触れ、彼ら(彼女ら?)は沈められただけである。