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OjohmbonX

創作のブログです。

NHK総合 毎週火曜 22:00 - 22:48

 長谷川はプロの当たり屋だったからNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に当然出演した。


モギ 「長谷川さんはいつもどんなことを考えながら当たられてるんですか」
長谷川 「まあ、不自然に見えないこと、それから致命的なケガをしないように、そうはいってもある程度のケガをしないとお金はもらえませんからね、ちょうど腕とか鎖骨とかが折れるように気をつけて当たってますね」
モギ 「一瞬でそれらのことを考えて」
長谷川 「そうです」
モギ 「すごい! 脳の観点から言ってもすごいことですよ」
長谷川 「いやいやハハハ! 結構ぼくの脳はズタボロですよ。ダメージを受け過ぎて」
モギ 「でもかえってそういう刺激が脳にアハ体験ですよ」
長谷川 「はあ?」
モギ 「今から私とアハ体験しませんか」
長谷川 「しませんよ」
モギ 「アハ体験しましょうよ」
長谷川 「ぼくはそんなことするために呼ばれたんじゃないですよ」
モギ 「まあいいじゃないですか。アハ体験。放送されてないだけで皆やってますよ。あのイチローだって羽生善治だってやってるんですよ」
長谷川 「ぼくは嫌ですよ」
モギ 「最初の人が『モギ』と言いながら誰かを指さす。指された人は『ケンイチロウ』と言って次を指す。そして最後に指された両隣の人が『アハアハ!』って言うんです、指された人はつられないように! かなり脳にいいですよ、これは」
長谷川 「それは、せんだみつおゲームじゃないですか」
モギ 「おっしゃる意味がよくわかりませんが、私から始めますね。さあ、いきますよ……モギ!」
住吉美紀 「……」
長谷川 「……」
モギ 「…………ええと、じゃあもう一度やりますね。いいですか……モギ!」
住吉美紀 「……」
長谷川 「……」
モギ 「………………せんだ!」
住吉美紀 「みつお!」
長谷川・住吉美紀 「ナハナハ!!」
モギ 「もういい!」


モギ 「今日は長谷川さんに実際お仕事を見せていただけるということで」
長谷川 (え、そうなの)
モギ 「スタジオに車を用意しました」
長谷川 (え、なんで11tトラックなの)
モギ 「お願いします!」
 ドゴオォォォ……
運転手 「この白くやわらかい、あたたかな塊が、長谷川さんの頭蓋骨からついに解放された脳、モギさん、あなたが大好きな脳です。神経系の中枢、今の今まで無数の神経細胞たちがしきりに発火し合っていた、もはや静かなこの脳、あなたのあこがれ! さあ触って御覧なさい」
モギ 「結構です。私は脳に興味はない。脳について熱心に語る私自身を好きなだけだ!」
運転手 「触りなさい。あなたは触るべきだ。それ!」
 運転手は脳を少しちぎってモギに投げつけた。脳の破片はモギの頬へ無残に張り付いた。
モギ 「そんなことよりゲストがいません。せっかくの機会ですのでご出演いただけませんか」
運転手 「もちろん」


モギ 「いつもどんなことを考えながら運転されてるんですか」
運転手 「だいたいいつも、世界平和とかについて考えながら運転してますね。それが8割。残り50%は警察のこととかですかね。私、ほんとはAT限定普通免許なんですよ。だから警察のことを考えているとおちおち眠れませんね」
モギ 「え、なに?」
住吉美紀 「……」
モギ 「いたいいたいやめて、ちぎれるよ!」
住吉美紀 「……」
モギ 「ヒギィッ!」
 住吉美紀は番組の進行と無関係にモギの耳を突然引きちぎった。生理で苛々してたからしょうがない。


 テレビ番組は一般的に、こういった困難を伴って制作されるものなのである。