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創作のブログです。

老ホの姫

カクヨムにお話をアップしました↓
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 男ばかりの老人ホームで、姫として君臨するおじいさんが、全然なびかないおじいさんを落とそうとする話です。


 もっとハイコンテクストに話が書ければいいなと思ってるけど、普段新書ばかり読んでるせいか難しい。
 あともっと短期間で1ヶ月くらいでぱっと書ければいいのに、ちゃんと時間を取らなくてずるずるかかってしまう。


 寝技の話は、増田俊也の『七帝柔道記』を以前に読んでめちゃ面白くて、寝技かっこいいよねと思ったので入れた。

首相ディナビッグの誕生

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  • 当初は2万字程度のつもりが6万5千字になってしまった。
  • 6月下旬から書き始めて8月下旬まで2ヶ月くらいかかった。途中で会社の夏季休暇もあったから「2ヶ月で終わらせられた」とも言えるのかもしれない。
  • 今年7月の参院選前の時点で、「こんな現状から政権交代はいつかあり得るのだろうか」とふと思いついて書き始めた。
  • なんとなくマツコ・デラックスさんみたいな人がなったら面白いだろうかと思った。
  • 3年半前に「AAゴールデンエイジ」という芦田愛菜さんが首相になるインチキ話を書いていて、ひょっとしたらその時間軸と辻褄が合わせられるかもしれないと思ったらできた。

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  • マツコ・デラックスさんが芸能界を引退していてもおかしくない時期」と「AAゴールデンエイジで芦田さんが参院初当選する時期」でサンドイッチして、実際の参院選の時期を当てはめて、その間に「政権交代で首相になった上に、さらに政権交代で下野する」をやったら、自動的にスケジュールが決まっただけ。
  • ディナビッグ首相の在任期間が短いのもその制約のため。途中で衆院鞍替えしているのも芦田首相が「参院議員として初の首相」としていたのと齟齬をなくすため。
  • 「AAゴールデンエイジ」は、公的な人とは言え実在の(しかもその時点で未成年の)人を勝手にキャラ付けして描いて、倫理的にちょっと問題があるとも感じていた。今回は(実在の政治家は混じっているが)基本的には架空の人物になった。
  • 小説というよりWikipediaの記事を書いているような感じ。
  • 書いていると「何も面白くない」「こんなの意味ない」という気持ちになってくる。そうして途中まで書いて公開もせずほったらかしになっているものがたくさんある。
  • エンタメ小説なら、もっと複数の登場人物が自律的に動いて、それぞれの思惑が交錯しあって、誰かの裏切りや予想外の行動でハードルが生じてそれを乗り越えて……といった起伏を作った方が面白いのだと思う。
  • きっとそれを頑張ってやろうとしたら倍くらいの分量になるのかもしれないけど、早くこれを片付けて終わりにしたかった。
  • ただ現実にはジョークみたいにズルズル「上手く」いって、奇妙に安定的な現実が出現してしまうことが結構あったりする。
  • 「AAゴールデンエイジ」で小泉進次郎を前任の首相にしていたら、公開後に環境相となった小泉氏が迷言で炎上して、ネット上で揶揄の対象になったりした。今回「首相ディナビッグの誕生」の前半で福田達夫を幹事長になっているとして書いたら、書いた後に統一教会問題への発言で炎上した。
  • ただ、もともと小泉氏も最初の出馬時には「世襲議員」とものすごい叩かれ方をした後に、めちゃくちゃ持ち上げられて、また落とされたりしていて、世評はコロコロ変わるので、福田氏ともども、これで「将来の芽」がなくなりはしないし、どうせみんな(忘れはしなくても)しばらくいいイメージが続けば簡単に評価しちゃうんだろうなとも思っている。


【「首相ディナビッグの誕生」の時間軸】
ディナビッグ、朽木大膳(くちき だいぜん)
1984年 誕生(早生まれ)
2006年 22歳 就職 大手商社
2020年 36歳 エンタメ系の公募の文学賞受賞
2022年 38歳 退職
2023年 39歳 直木賞受賞
2024年 40歳 テレビタレント
2025年 衆院選2月(解散)
2028年 44歳 参議院議員 第28回参議院議員通常選挙 日銀総裁任期満了
2029年 45歳 衆院選2月で鞍替え
2030年 46歳 立民に合流・党首就任(年末)
2031年 47歳 第29回参院選 ねじれ国会 改元・愛子が即位
2033年 49歳 衆院選2月で大勝、首相就任 日銀総裁任期満了
2034年 50歳 政界引退(本来の任期満了を理由に)第30回参院選 敗北、ねじれ国会 芦田初当選
2037年 衆院選(任期満了)で自民が与党返り咲き


【「AAゴールデンエイジ」の時間軸】
芦田愛菜
2034年 30歳 参議院議員初当選・自民党は下野していたが参院選で勝利しねじれ国会
2037年 33歳 衆院選で与党返り咲き、小泉進次郎が首相就任
2043年 39歳 首相就任 ギミギミシェイク13年
2050年 46歳 3期目の7年目 ギミギミシェイク20年


【参考文献】
 過去に別ブログの「やしお」で書いた↓あたりの記事も参照した。(というか同じ人間が書いているので、同じ認識に立っている)
自民党の派閥のおおまかな流れ - やしお
システムをハックする首相 - やしお
公明党が自民党と連立を組んでいく経緯 - やしお
安倍政権での「第二官僚」のメンバー - やしお
民主党政権を今さら振り返る - やしお
新自由主義の自己責任・競争社会が生み出す景色 - やしお
国政選挙で勝つということ - やしお


 書籍だと↓などを参照した。(他にも色々読み返した気がするけど、何の本を読んだかメモを残していないので覚えている範囲で挙げた。)上記の記事のベースになっている本も含まれる。


飯尾潤『日本の統治構造』

55年体制中選挙区制から小選挙区制への移行の意味など。


日本再建イニシアティブ『民主党政権 失敗の検証』

当時の内幕がよく分かる。


森功『官邸官僚』

安倍政権で首相官邸に取り込まれた官僚の動き方。


魚住昭野中広務 差別と権力

熾烈な政治闘争の雰囲気がわかる。あと野中広務という人物や人生が本当に面白い。


田中周紀『国税記者』

国税庁の人事ってどうだったけと思って読み返した。


尾脇秀和『氏名の誕生』

現在の氏名の制度の起源がわかる。あと江戸時代の人の名前の複雑な仕組みが丁寧に解説されて面白い。


翁邦雄『日本銀行

反リフレ派の著者が中央銀行の起源や役割の解説に留まらず、黒田総裁体制初期の金融政策を解説する。


志賀櫻『タックス・イーター』

元財務官僚が税制の穴からお金が漏れる仕組みを解説する。


明智カイト『誰でもできるロビイング入門』

日本でNPOなどが政治を動かす仕組みや事例を紹介する。


高木徹『国際メディア情報戦』

PR会社が国際的に世論を形成する業界のドキュメンタリー。


金敬哲『韓国 行き過ぎた資本主義』

新自由主義を強力に進めるとどんな社会になるのかを見せてくれる。


※「作品だけ黙ってポンと置いてある方がかっこいい」と以前は思っていた。プロの作家なら、作品を他者が丁寧に解説してくれるのを期待できても、素人なのだから、自分で何を思って書いたのかメモを残しておくのがいいだろうと思って、こういうことを書いています。

手のかかるロボほど可愛い

 久しぶりにお話を書いた。おじいさんが博物館で出会ったロボちゃんと一緒にお散歩しながら思い出を語るお話。
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 先日、ツイッターで↓の短篇漫画を見た。(以下ネタバレ)
https://twitter.com/kujiraba/status/1456215988173561856?s=21


 読んだ時、あまりに「完璧」に思えてびっくりした。
 猫と幽霊の関係性が(明言はされないが)読者に明かされる瞬間のインパクトの大きさと、そこでばっさり終わって生じる余韻が、この短篇漫画の核心だとして、その関係性が明確になった瞬間に、そこにたどり着くまでに猫と幽霊の道行きで散りばめられていた様々な要素が一気に結びついていく。出会いからの雰囲気も最高だった。ロードムービーみたいに二人で旅(といっても一つの町の中で完結するが)する雰囲気が良かった。
 なんかそういうようなお話を自分も書きたーい、と思った。


「本当は言葉を交わせない/意思の疎通ができない相手と、心が通う瞬間」というのはよくあるモチーフかと思う。それはペットだったり、ロボットだったりする。
 ついこの間見たアニメ映画の「アイの歌声を聴かせて」もその種の物語だった。(以下ネタバレ)子供の頃に作られたAIが、実は主人公をずっと見守っていて、そのことがふいに自覚される、その瞬間にそれまでの様々な出来事が一気に結びつく、というような話だった。
 あれこれ考えて、元軍人のおじいさんと、軍用ロボットが再開するという形にした。


 当初、もう少し違う形にしようとしていた。

  • ツアーガイド(ロボ)はたくさんお客さんを引き連れて案内している
  • おじいさんは妻と一緒に来ている。おじいさんは車椅子でおばあさんに押されている
  • おじいさんは無口でほとんど喋らない
  • ツアーで一緒になった若い男がおばあさんの代わりに車椅子を押してくれる
  • ツアーからは少し距離を置いて、おばあさんは若い男と話をする
  • その中でおじいさんの過去が話されていく
  • ツアーの最後に「自分は過去に救われた」とロボがツアー客に明かして、ツアー客みんながおじいさんを見る

 ただあれこれ考えて、おじいさんとロボの二人きりにした。


 あと、最初「おじいさんがロボを罵りながら格闘している」状況を冒頭に置いて、その状況に至るまでを前半で描いていく、という構成にしていた。エンタメ映画でもよく見るやり口で、ハイライトだったり見せ場だったりを一番頭に置いて、見る側の興味を引いて、「どうしてそうなったのだろうか」という宙釣りで興味を維持させていくようなやり方。
 ただちょっと方法として消極的で、そんな小賢しいことをしなくても興味を維持させるように細部の全体の質を維持すべきだろうという気もするし、「至る点」があらかじめ明らかだという意味で退屈な道中になるとも思えて、やっぱりやめて、おおむね素直に時間軸に沿おうと思った。
 ただやめたけど、「興味を維持させるように細部の全体の質を維持する」はあまり実現できていないとも思っている(それをやる気力が湧かなかった)ので、単にただやめただけかもしれない。冒頭2行だけ全体の説明を入れているので、完全に時系列にしてないのも、そうした不安や自身のなさから来るのかもしれない。


 本当は最初に挙げたツイッターの短篇漫画みたいに、本当に鮮やかなお話を書ければと思って始めてみたものの、やろうとするとどうしても、殴り合いみたいなシーンは入れたいし、ポンコツロボが出てくるならやっぱりファービーのコピペ(モルスァのやつ)みたいな風になってほしいとか、そうした欲求に抗うのは難しかった。