クラスの父

　祖母は入院するし，僕はインフルエンザに感染するし，交通事故に遭うし，卒研やらにゃいかんし，今週は期末試験週間だし……もう，ほんと，おどるしかないですよ．だから皆おどってたですよ．今日のシステム工学の試験中に．もちろん観念上でおどてたですよ．だって，システム工学の試験中に本当にクラス全員がおどてたら，それはおかしいですよ．絶対．
　みんなが観念上のおどりをおどてたら，クラスの父に言われた．「試験中におどてたら，おかしいですよ．絶対」みんな，もう，ブチギレ．わざわざ遠慮して，観念おどりをおどてたのに，では，何おどりをおどてたら，おかしいちがうですか？　って，僕の左隣の席の人は，観念から飛び出して，本当におどり出して，おどり過ぎて，上半身がドリル状にねじれたと思ったら，ねじれがほどけて，すごい回転で，竹とんぼみたいに飛んでいって，本当に馬鹿みたいです．さすがにそれはキモイですよ．
　「クラスの父」といっても，みんなの本当の父ではなくて，もっと曖昧な存在，つまり，ウルトラの父のような存在．例えば，人は「原子」と言われて大きな球（原子核）の周囲を小さな球（電子）が飛んでるのを思い浮かべたりするけれど，その球は本当の原子ではない，というか，実際に見た原子ではないけれど，そういうモデルで一応理解したことになっているみたいに，「クラスの父」もウルトラの父みたいなものとして僕たちは理解してるってわけ．
　ただ，なにせクラスの父は見えないので……，いや，もちろん見えるタイプのクラスの父もあるのだけれど，とても残念ですよ．「クラスの父」「おおーっ！」「見えるタイプのだけど」「ああ……」とても残念ですよ．「マツタケ」「おおー」「中国産の」「ああ」しかし国産であろうと中国産であろうとマツタケはマツタケであるように，見えないタイプであろうと見えるタイプであろうとクラスの父はクラスの父である．残念がるのは不当である．さすがに，鼻水のマツタケは，本質的にマツタケではないが．鼻水まみれならともかく，まあ，鼻水でマツタケ作るっていう努力は認めてあ
　ほんとにもう肉だんご
　だいたいねえ，クラスの父は想像上の動物なんですよ，ぶっちゃけ．切ないねえ．