OjohmbonX

創作のブログです。

実父でない

 昼下がりの遊園地のベンチで居眠りしていて目を覚ますと
「このニセパンダ! 死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」
と風船を持った着ぐるみのパンダの股間をリズムよく蹴り上げる金髪,碧眼,長身の女がいた.虚無的な目で女を見つめるパンダは微動だにしない.それからまた一眠りした.
「死ね! 死ね! 死ね! 死ね!」
 蹴り上げるたびに乱れて夕日に輝く女の髪が美しい.
「死ね! 死ね!……あ,間違えてた,ごめんなさいでも紛らわしい格好をしているアンタも悪いんだよ」
 女は一層激しく蹴り上げ始めた.女が何を間違えていたのかは知らないが,そのときの女とパンダの間に生まれたのがお前なんだよ,って昨日テレビ見てたら親父にいきなり言われてさあ俺どうしたらいいんだろ,と溜息をついた友人が通常ではあり得ないレベルでエロティックだったために,僕はもう,口の中が,乾いて仕様がなかった,と書かれた息子の日記を盗み見したことのある人,という質問に対して100人中1人が該当した場合に特製の携帯電話用ストラップが貰えるというゲームが,ニッポンのある種のテレビ番組では行われています.