OjohmbonX

創作のブログです。

ガイルが いる

 「技術英語」という授業があって,レイモンド・コウというカナダ人がカナダの高校生の用いる物理の教科書を印刷して配り,それを読解することで技術的な(あるいは物理に関する,と言ってもいいかもしれません)英語力を身に付けることを目的とした授業なのですが,この「技術英語」でレイモンド・コウが課した課題を僕が今日解いていると,Sonic Boomが出てきました.課題は,soundがどうしただのwaveがこうしただのと書かれている教科書の範囲から出されているので,Sonic Boomが出てきたのでしょうが,僕は「音速以上で飛行する物体による衝撃波が地上に達して生ずる爆発音」などというSonic Boomの本来の意味について考えるより先に,当然のことながらガイル少佐を想起しました.
 言うまでも無いことですが,ガイル少佐は「ストリートファイターⅡ」というゲームなどに登場するアメリカ軍の空軍か何かの少佐であり,あたかもヘリコプターのように大股で回転し攻撃を行う女刑事・春麗や,手足をゴムの如くに伸ばしたり口から火を噴くなどする自称ヨガの達人ダルシム,体から電撃を放ち緑の皮膚を持つもはや人間ではないブランカなどと死闘を演じました.ガイル少佐なんて知らない,などと仰る方は人間として最低限の何かが欠けていると思われるので,一度死んでみるのも良いかもしれません.
 僕はゲーム全般,特に対戦ゲームが大変苦手でしたので,ボタン類をとにかくがちゃがちゃしている間に勝てると良いなあ,という戦法(戦法などと呼ぶのも憚られますが)で戦うようにしていましたが,そんな僕に対してもガイル少佐は時折その逞しい腕からソニックブームを発動させて下さいました.放たれたソニックブームは大概相手のジャンプその他によってかわされるわけですが,それでも僕は,ガイル少佐がただ無闇に飛び跳ねたり,相手の全くいないところでジャブや強烈なキックを無駄に繰り出すだけでなく,「ソゥニックブゥーム」と呟きながら腕から黄色く発光する鎌の形をした何かを発生させて下さることが,ただただ嬉しかったのです.
 そんなことを思い出しながらSonic Boomの話を読み進めていると,こんな一文がありました."A common misconception is that a sonic boom is produced only at the moment an aircraft breaks through the sound barrier." つまり(上手く訳せていないかもしれませんが)「ソニックブームサウンドバリアーを突破する飛行機の動きによってのみ生ずるというのは,よくある誤解だ」ということですが,この一文を読んだときに僕は戦慄を覚えました.ガイル少佐によって頻繁にソニックブームが生ぜられているのだからそのような誤解は起こり得るはずがないというのに,この一文が存在しているということは,カナダの高校生はガイル少佐を,ガイル少佐の溢れ出る優しさ(すなわちソニックブーム)を知らないということに他なりません.なんと哀れなことでしょうか.日本政府はスマトラ島沖地震に関する復興支援を行うと同時に,カナダ人へのガイル普及支援を行わなければならないのは明白です.
 
 ああ,別にオチのようなものはありませんが,僕が「ストリートファイターⅡ」でガイル少佐を選択したことはまず無かったと思います.最も使用頻度の高かったのはバルログ様です.ヒャォーゥという叫び声が当時の美的感覚に大変マッチしたからです.
 そういえばガイル少佐の他にも,「ポケットモンスター」のコイルなどがソニックブームを使えましたね.どうでも良いことですが.